69人が死亡した10月28日のウルダ列車事故(トレド県)について、国の独立した事故調査機関AITATは7日、高速鉄道の安全対策を求める3件の勧告を公表した(文書の日付は6日)。衝突の22分前に信号保安システムLZBで伝送が途絶え、線路脇の信号を使う予備の方式BSLに切り替えていたとし、こうした切り替えは「管理が必要なリスクを伴う」と指摘した。手順が見直されるまでの暫定措置として、高速線でこうした切り替えの後に運転を再開させるときは、目視運転を指示するよう求めた。勧告は予防のためで、原因の結論を先取りしないとしている。
衝突の22分前に保安システムで異常
AITATの文書によると、事故は28日8時53分(スペイン時間)、マドリード〜セビージャ高速線の118.8キロ地点で起きた。ウルダ駅の入口信号の手前で止まっていたIryoの6076列車に、同じ線路を走ってきたRenfeのAVE 2080列車が追突した。初動の調査の情報では、8時31分にLZBで伝送が途絶える異常が起き、BSLでの運転に移った。管制センター(CRC)の担当者は、テレフォネマと呼ばれる電話連絡で、運転士と情報や指示をやり取りしていた。
3件の勧告、宛先は鉄道安全庁
AITATは、BSLに移るときは「すでに線路上にいる列車の位置を確かめ、整える必要がある」とし、管制センターの手順書が、担当者のすべきことと運転再開を認める条件をはっきり定めるべきだとした。勧告は、(1)手順書の見直しまで、高速線でBSLへの切り替え後に運転を再開させる指示には暫定的に目視運転を義務づける、(2)BSLへの移行と、その後の運転再開の条件について管制センターの手順書を見直し、必要なら改める、(3)切り替えに伴うリスクを評価し、手順や技術・規則の変更が要るかを判断する、の3件。宛先は国家鉄道安全庁(AESF)で、最終的な実施者には高速線を管理する国の公企業Adif AVを挙げた(3件目は同庁とAdif AV)。目視運転は、運転士が見通しに合わせて速度を調整し、障害物や停止信号の手前で止まれるように進む運転だ(エル・デバテ)。現行の規則にも、一部の場合に目視運転で進む手順がある(既報)。2024年の法律に基づき、最終報告を待たずに出した勧告だ。
政府は3日に「2人目の確認」を決定
政府は3日の閣議で高速鉄道の安全計画を承認し、自動の閉塞が使えない運転のときに管制センターで下す判断は、少なくとももう1人の担当者が確かめて承認する仕組みにするとした(運輸省の3日の発表。経緯は運輸相辞任の記事)。テレフォネマの電子記録帳などを備えた管制センター用の新しいソフトの導入も盛り込んだ。運転士組合SEMAFも10月末、保安装置が止まった後の運転再開の規則を変えるよう、国家鉄道安全庁に求めていた(既報)。勧告を鉄道安全庁やAdif AVが採り入れたという発表は、7日夕方までに確認できなかった。
現場の車両は撤去、州は緊急計画を解除
エウロパ・プレスによると、7日午前、残っていたAVEの最後の2両が撤去された。カスティーリャ・ラ・マンチャ州政府は同日9時30分、車両の撤去などを受けて州の緊急計画を解除した。統合データセンターの集計で死者は69人のままで、66人の遺体は家族に引き渡され、オーストラリア国籍の2人とチェコ国籍の1人の遺体については、引き渡しに向けた領事手続きが続いている。犠牲者には日本国籍の2人が含まれる(既報)。同州の病院には11人、マドリード州の病院には17人が入院している。原因については、裁判所の捜査とAITATの調査が続いている。













