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スペインに住む日本人の間で「入れておいてよかったアプリ」として必ず名前が挙がるのがVPNだ。TVerやABEMAなど日本国内限定の動画配信を見る、日本の銀行・証券アプリに安全にアクセスする、カフェや空港の公衆Wi-Fiを暗号化する ─ 在住生活のこの三大ニーズに応える定番が NordVPN と Surfshark である。実はこの2社、現在は同じ企業グループ(2022年に経営統合)に属する「兄弟ブランド」だが、性格ははっきり違う。結論を先に言えば、通信の速さ・サーバー網の厚さ・日本の動画配信への強さで選ぶならNordVPN、長期契約の安さと接続台数無制限で家族全員のデバイスをまとめて守るならSurfsharkだ。本記事では料金・速度・機能・日本のサービスとの相性を具体的に比較し、在住スタイル別にどちらを選ぶべきかを整理する。
なぜスペイン在住者にVPNが必要なのか
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、通信を暗号化した上で、世界各地のサーバーを経由してインターネットに接続するサービスだ。スペイン在住の日本人にとって実用上の意味は大きく3つある。
第一に、日本限定サービスへのアクセス。TVer、ABEMA(無料枠)、NHKプラス、radikoといった日本の配信サービスは、日本国内のIPアドレスからしか視聴できない。VPNで日本のサーバーに接続すれば、スペインの自宅のテレビやタブレットで日本の番組がそのまま見られる。
第二に、日本の金融サービスの利用。銀行や証券会社の中には、海外IPからのアクセスを不正利用対策で警戒・制限するところがある。日本のIPを経由することで、余計なロックやセキュリティ警告を避けられるケースが多い(各社の利用規約は事前に確認してほしい)。
第三に、公衆Wi-Fiの防御。スペインのカフェ・ホテル・空港の無料Wi-Fiは暗号化が甘いものも多く、同一ネットワーク上の第三者に通信を覗かれるリスクがある。VPNをオンにしておけば、パスワードやカード情報を含む通信がすべて暗号化される。バルセロナやマドリードのような観光都市でスリと並んで警戒すべき「デジタルの掏摸」への基本装備だ。
料金比較 ─ 長期契約はSurfsharkが約3割安い
両社とも「長期契約ほど月額が下がる」料金体系で、価格は米ドル建て(決済時にユーロ・円換算)だ。記事執筆時点の2年契約の実質月額は、NordVPNがベーシックプランで月3ドル前後、Surfsharkが月2ドル台前半。1年契約でも同様にSurfsharkが下回る。逆に1カ月だけの短期契約では両社とも月13〜16ドル程度まで跳ね上がるため、一時帰国の間だけ使うような使い方なら短期、在住の常用なら長期契約が合理的だ。
そして両社の決定的な違いが同時接続台数である。NordVPNは1契約で10台までなのに対し、Surfsharkは台数無制限。夫婦のスマホ2台、パソコン2台、タブレット、テレビ用のFire TV Stick…と数えていくと、家族世帯では10台の上限は意外と早く来る。1契約で家中のデバイスに入れ放題という分かりやすさはSurfshark最大の武器だ。
なお両社とも30日間の返金保証があるので、まず1つ契約して自宅の回線・視聴したいサービスとの相性を試し、合わなければ乗り換えるのが実質ノーリスクの試し方だ。
速度とサーバー網 ─ 実測はNordVPNに分
2026年の各種第三者テストでは、独自プロトコル(NordLynx)を使うNordVPNが速度面で一歩リードするという評価が多い。サーバー数もNordVPNが120カ国・7,000台超と、Surfshark(100カ国・3,200台超)の倍近い規模を持つ。日本サーバーへの接続はスペインからだと地理的に遠く、どうしても速度が落ちる区間なので、サーバーの選択肢が多く混雑を避けやすいNordVPNの構造的な強みは、日本の動画を毎日見る人ほど効いてくる。
ただしSurfsharkも通常利用で不満が出る速度ではない。フルHDの動画視聴に必要なのはせいぜい5〜10Mbps程度で、スペインの光回線(多くの家庭で300Mbps〜1Gbps)からVPNを通しても、どちらのサービスも余裕でクリアする。体感差が出るのは4K視聴や大容量ダウンロード、混雑時間帯くらいと考えていい。
日本の動画配信との相性 ─ 両者とも実用レベル、安定性で僅差
2026年夏時点の比較テストでは、Netflixの日本ライブラリを含む主要サービスのブロック解除に両社とも成功している。TVer・ABEMAといった日本の無料配信も、日本サーバー経由での視聴報告が安定して多いのはこの2社だ。ただしこの分野は配信側とVPN側の「いたちごっこ」で、特定のサーバーが一時的に弾かれることは日常的にある。その際にサーバーを切り替えて回避するのだが、日本サーバーの数が多いNordVPNの方が逃げ道が多いというのが実情だ。
スマートテレビやFire TV Stickで見る場合は、両社とも専用アプリがあるので設定は簡単だ。ルーターに直接VPNを設定して家中の機器をまとめて通す方法もあるが、こちらは中級者向けの作業になる。
付加機能 ─ 脅威対策はNord、コスパの全部入りはSurfshark
NordVPNは上位プランで「脅威対策Pro」(マルウェア・トラッカー・広告のブロック)、パスワード管理のNordPass、暗号化クラウドのNordLockerまで統合できる。セキュリティスイートとしての完成度と実績は業界トップクラスだ。
Surfsharkも広告ブロック(CleanWeb)、検索履歴を残さないSurfshark Search、個人情報流出監視のAlertを備え、上位プランでは抗ウイルスソフトまで付く。この「全部入りでも安い」姿勢が身上で、機能単価で見ればSurfsharkのコストパフォーマンスは驚異的だ。
ケース別の結論 ─ あなたはどっち?
- 日本の動画配信を毎日見る・速度最優先 → NordVPN。日本サーバーの厚みと速度で長期的に安定
- 家族のデバイスが多い・とにかく安く → Surfshark。台数無制限+2年契約の安さは唯一無二
- 銀行・証券アプリ用に信頼性重視 → NordVPN。運営実績と監査履歴の長さで一日の長
- VPNは初めて、まず試したい → どちらでも30日返金保証あり。迷ったら安いSurfsharkから
契約は公式サイトのキャンペーンページからが最安だ。NordVPNの現在のキャンペーンはこちら、Surfsharkの現在のキャンペーンはこちらから確認できる。
日本の読者への解説
「VPNはなんとなく違法っぽい」という誤解が日本では根強いが、VPNの利用自体はスペインでも日本でも完全に合法だ。企業のリモートワークでは必須のインフラであり、旅行者・在住者が通信保護のために使うのはごく一般的な使い方である。ただし、各動画配信サービスの利用規約では地域外からのアクセスを認めていない場合があり、その点は自己責任の領域になることは知っておきたい。
スペインへの移住・長期滞在を予定している人は、日本を出る前にVPNを契約しておくことを強く勧める。日本のIPアドレスでしか新規登録・本人確認できないサービス(銀行アプリの再認証など)があり、スペインに着いてから「しまった」となる典型パターンだからだ。渡航前の準備全体は在住者の実務ハンドブックにまとめてあるので、VPNと合わせてチェックリストに入れてほしい。













