北アフリカにあるスペインの飛び地セウタに7月30・31日、モロッコから大勢の人が越境した事件で、捜査する全国管区裁判所(アウディエンシア・ナシオナル)のマリア・タルドン判事に、治安警察(グアルディア・シビル)が「約8万8,146人」がモロッコに戻った可能性があると推計する報告書を出していたことが6日、分かった。報告書は10月27日付で、治安警察が確認した死者は90人、スペインの水域での救助は862件。エウロパ・プレス(EP)、EFE通信、公共放送RTVEがそれぞれ報告書を入手して報じた。国家警察がモロッコ警察の幹部2人を映像で特定したとする報告書も判事に届いている。
政府が示してきた規模を上回る推計
治安警察は帰還者を「約8万8,146人」とし、戻った「可能性がある」と推計の形で示した(EFE)。政府が示してきた流入の数は時期によって異なり、ファクトチェック団体マルディタの整理では、内務省が8月4日に7万2,000人(うち7万人が帰還)、サンチェス首相が9月に7万人とした。EPは政府の数を約8万人と伝えている。治安警察の推計は、帰還者の数だけでこれらを上回る。
国家警察は判事に、自らが数えられるのは帰る意思を示した人だけで、全体と比べれば「ごくわずか」だと説明し、全体を知りうるのは越境の区域を警備する治安警察だけだとした(EFE)。なお、トーレス領土政策相が4日に示した帰還者1万5,000人超は8月10日以降の数で、期間が違う。流入直後の様子は8月1日の記事で伝えた。
モロッコ警察の幹部2人を映像で特定
EPとEFEによると、国家警察の情報総局は判事あての報告書で、モロッコのメディアが7月30・31日に公開した動画5本に、国境に近いフニデク(カスティジェホス)一帯の治安と公共の秩序を担う警察の高位の幹部2人が映っていると特定した。警察は2人を、30・31日のモロッコ側の態勢で作戦上の指揮系統の最も高い階層にいたとし、1本では幹部の1人が「右腕で身ぶりをし、進む方向を指して、数人の移民に指示を与えている」と説明する。別の動画には、幹部らが突入を阻止するため現地に入ったとするアラビア語の字幕がついていた。警察は73本の動画を見つけており、2人の役割を引き続き調べるという(EFE)。
EFEによると、内務省が判事に送った在モロッコ大使館の内務担当部署のメモは、モロッコのメディアの報道をもとに、同国の王立憲兵隊が8月6日、越境を呼びかけたワッツアップのグループの管理者とみられる2人を拘束したと記す。テトゥアンの裁判所が集団越境の組織や扇動で複数の人に有罪判決を出したことにも触れる。ただし内務省は、現時点で報じられている情報からは、このグループが安定した組織だったとも、管理者らだけで大規模な動員を調整できたとも言えないとしている。
モロッコ外務省は9月10日、警察の報告書の報道を受け、自国の当局の関与を示す「事実や報告書はない」とする声明を出している(Euronews)。サンチェス首相も9月3日の下院で、モロッコが計画または実行したという「確かな証拠」を政府に渡した機関はないと述べた。
10日に保護証人4人を聴取へ
EPが入手した決定によると、タルドン判事の代わりにサンティアゴ・ペドラス判事が、国家警察の国家移民・国境センター(CENIF)の申し立てを受け、保護証人4人を10日(火)の聴取に呼び出した。CENIFは報告書で、モロッコの治安部隊が群衆を通過地点へ「能動的に誘導」したとし、事前と戦術上の「計画」があったとも指摘している。9月の経緯は9月3日の記事にまとめた。

















