スペイン議会の常設委員会(ディプタシオン・ペルマネンテ)は12日(木)、政府が10月6日に閣議決定した住宅政令2本の承認を採決する。下院議長室の筋がスペイン紙エル・エスパニョールと不動産サイトidealistaに確認した。票の行方を左右するバスク民族党(PNV)は、家賃や立ち退きの対策を広く扱う29号には賛成し、賃貸契約の更新の仕組みを変える28号には反対する姿勢を変えていないと報じられている。28号は官報上15日に施行される予定で、承認されなければ施行を前に廃止される。
選挙運動の開始直前に採決
議会が解散されている間は、この常設委員会が政令の承認を判断する。前の住宅政令2本は10月2日の下院本会議で、国民党(PP)、極右Vox、カタルーニャ独立派のJuntsなどの反対で承認されず(契約更新の政令にはPNVも反対した)、サンチェス首相は10月5日に総選挙の前倒しを発表した。政府は翌6日、一部を修正した2本を改めて閣議決定した(10月30日の記事)。採決は、住宅問題などを掲げる11日のゼネストの翌日で、29日の総選挙に向けた選挙運動が始まる直前に当たる(総選挙の解説)。
29号の前文は、10月7日に87歳で亡くなったマリカルメン・アバスカルさんの立ち退きが「社会の意識を目覚めさせた」と記し、一連の政令は「マリカルメン政令」とも呼ばれる。
PNVは29号に賛成、28号には反対
idealistaとエル・エスパニョールによると、PNVは29号への賛成と28号への反対をすでに表明している。ニュースサイトQuéなどによると、PNVの下院会派の広報担当者は7日までに「態度は表明済みで、同じ立場を維持する。必要な措置を含むので、一つ目の政令(29号)には賛成する」と述べた。理由に期間限定の賃貸の規制、投資ファンドの活動の制限、所有が2戸以下の小規模な家主の保護を挙げた。PNVは28号を「小規模な家主への攻撃」だとして、賃貸物件を市場から減らすと批判している。
idealistaによると、委員会ではPP、Vox、Juntsだけでは否決できず、社会労働党(PSOE)は左派各党とPNVの票で足りる。PNVが反対する28号は承認の見通しが立たない(エル・エスパニョール)。
ニュースサイトのモンクロア・ドットコムによると、PPは10月に続いて2本とも反対する方針で、党本部は、問題は供給不足にあり、土地や家主の法的な安定がないままの家賃の上限は、住宅を減らして残りを値上がりさせると強調している。同サイトなどによると、idealistaの集計では9月末から賃貸の掲載物件が減っており、エル・ムンド紙が取材した不動産の専門家は、PNVとは逆に、減少は29号の影響だとみている。
借り手にとっての違い
官報によると、29号は10月8日から施行されている。条件を満たす借り手の申請による最大2年の特別延長、2027年末までに改定時期が来る家賃の年次改定の制限(参照価格の上限を超える家賃は値上げなし、それ以外は新たな合意がなければ2%まで)、期間限定の賃貸や部屋貸しの規制、住まいの当てがない弱い立場の人の立ち退きを止める制度(2030年末まで)などを含む。承認されなければ、これらの措置も廃止される。
連立与党のSumarが推した28号(官報の題名は「常居所の賃貸契約の安定を強める緊急措置」)は、契約から5年(家主が法人なら7年)を過ぎた住居の賃貸で、どちらからも更新しない通知がなければ、5年(法人は7年)ずつの更新を義務づける。家主の通知は6か月前までとし、更新を断る場合は、国の家賃参照指標の上限値で計算した12か月分か、住んだ1年につき1か月分の多い方を借り手に補償する(個人の家主が自分や家族の住まいに使う場合などは除く)。
結果は政令ごとに分かれうる。契約の更新や家賃改定の通知を受けている人は、12日の結果と官報で、どちらが残ったかを確かめたい。
主な出典:官報(BOE、10月7日の政令28号・29号)、エル・エスパニョール、idealista、Qué、モンクロア・ドットコム、エル・プルラル。

















