スペイン政府は、10月6日に改めて閣議決定した2本の住宅政令について、11月12日に下院の常設委員会に当たる「ディプタシオン・ペルマネンテ」で採決することを想定している。EFEとelDiario.esが27日、政府・議会関係者の見通しとして報じた。30日早朝の確認時点で、採決日の公式確定は確認できていない。家賃や立ち退き対策を広く扱う政令29号と、通常の賃貸契約の更新方法を変える政令28号は別の法令で、施行日も異なる。9月に発表され、10月2日に議会で否決・廃止された旧政令と混同しないことが大切だ。

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否決された9月の政令と、10月の新政令

政府が9月29日に閣議決定した住宅関連の政令26号・27号は、10月2日に下院が承認せず、廃止された。その後、サンチェス首相は総選挙の前倒しを発表し、政府は10月6日に一部を組み直した政令28号・29号を改めて閣議決定した。いずれも7日の官報に掲載されている。「前の案が否決されたので対策はすべて消えた」とも、「発表された案がすべて現在の制度になった」とも、一括りにはできない。

議会が解散されても、政府が出した政令の承認を判断する仕組みは残る。憲法は、議会の解散中などに活動する常設委員会を設け、政令の承認・廃止を担わせている。今回の争点は、選挙まで住宅対策を棚上げするかどうかにとどまらず、どの措置を継続させるかという具体的な立法判断だ。

法令主な内容確認した時点の扱い
9月の26・27号住宅対策と契約更新制度10月2日に否決・廃止
10月の29号条件付きの契約延長、家賃改定など原則10月8日施行。個別の例外あり、議会承認が必要
10月の28号通常の契約更新方法などを変更官報上の施行日は11月15日。議会承認が必要

「2年間の延長」と「通常の更新」は違う

29号は、条件を満たす既存の居住用賃貸契約について、借り手の申請により1年単位、最大2年間の特別延長を設けている。家賃を現在支払っており、直前8か月も毎月支払っていたことなどが条件だ。契約や延長期間の満了に関する条件、貸主や家族が実際に住む必要がある場合などの例外もある。借り手全員の契約が何もしなくても2年延びる制度ではない。

家賃の年次改定についても、一律の「凍結」と説明すると正確さを欠く。29号は、適用される参照価格の上限を超える家賃には値上げを認めず、それ以外は当事者間の新たな合意によるとしたうえで、新たな合意がない場合の上昇率を2%以下に制限している。対象期間や契約条件の確認が必要で、新しく借りる物件の募集家賃すべてに同じ数字が当てはまるわけではない。

一方の28号は、賃貸借法の通常の更新方法を変える政令だ。更新しない旨の通知がない場合の契約継続、通知期限、貸主が契約を終了させる際の補償などを扱う。官報では施行日が11月15日と定められており、10月30日の時点ですでにこの新しい更新方法が全面的に始まったと案内することはできない。

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採決は選挙戦の直前になる見通し

EFEなどの報道が挙げる11月12日は、13日に予定される選挙運動の開始直前に当たる。政府側は住宅問題を選挙の主要な争点としている。ただし、採決の開催日、各党の投票、承認の成否はそれぞれ別の段階であり、見通しを結果として書くことはできない。

政府には2本を同じ会議で扱う意向があっても、内容の異なる政令が必ず同じ結論になるわけではない。今後の報道では「住宅政令が承認された」という見出しだけで判断せず、28号か29号か、どちらの措置が残ったのかを確かめる必要がある。採決後には官報の承認・廃止の公告まで確認するのが確実だ。

27日付のEFEは、政府が対策を広く盛り込んだ政令の承認に必要な票を確保できると見ている一方、通常の更新方法を変えるもう一方の政令は事情が異なると伝えている。これは採決前の政治的な見通しだ。住宅対策への賛否が単純に2つの陣営へ分かれると決めつけず、政令ごとにどの党が何を支持・反対しているかを見る必要がある。

借り手が確認するのは、値上げと更新のどちらか

暮らしへの影響を読む際は、同じ「家賃の話」でも、契約が続いている間の年次改定なのか、満了後の延長なのか、新たな契約への切り替えなのかを分けると理解しやすい。年次改定の割合についての報道を、そのまま新しい物件の募集価格に当てはめたり、特別延長の要件を満たしていないのに通常の更新と同じものと考えたりすると、判断を誤る。

例えば、満了の通知を受けた人が確認すべきなのは、通知の内容や期限、その契約がどの延長制度の対象になるかだ。一方、契約が継続中で翌年の家賃改定を通知された人は、改定時点の規定と契約条件を見ることになる。こうした違いを整理したうえで相談すれば、自分が求めるのが契約の継続なのか、家賃改定の確認なのかを窓口へ伝えやすくなる。

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日本の読者への解説

在住者にとって最も身近なのは、政治の発表を自分の契約の変更と取り違えないことだ。スペインの政令には、閣議決定、官報掲載、施行、議会承認という段階があり、法令によって順序や時期の関係が違う。さらに同じ法令でも、条項ごとに適用時点が違うことがある。今回も29号と28号を別々に見る必要がある。

契約更新や退去の通知を受けたら、契約日、満了日、貸主からの通知日、家賃の支払状況をそろえたうえで、自治体の住宅相談窓口や専門家に確認したい。総選挙があること自体で契約が自動延長されたり、家賃が自動的に下がったりするわけではない。政治判断が暮らしにどう及ぶかを知るには、まず自分に関係する法令と施行日を特定することが出発点になる。

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