スペイン国家警察は6日(金)、極右団体「ヌクレオ・ナシオナル(Núcleo Nacional)」を一斉に捜査した。14人を逮捕し、マドリードや北部アストゥリアス州など7県の10か所を捜索した。マドリードの本部も含む。容疑はヘイトの扇動、不法な結社、武器の所持。8日(日)には、幹部とされる7人を含む10人が、北部ヒホンの判事の前に出た。裁判所筋によると、判事は10人を釈放したうえで、検察の請求をすべて認めた。旅券の取り上げ、出国の禁止、毎週金曜日の出頭だ。
7県の10か所を捜索
捜査を担ったのは、国家警察の情報総局だ。アストゥリアス州高等裁判所の説明では、逮捕者のうち7人は団体の幹部とされる。捜索先には個人の住宅も含まれ、多くの物が押収された。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2月 | ヒホンの学校の近くでもめごと。若者数人が暴行を受けたと届け出る |
| 11月6日(金) | マドリード、アストゥリアス、グアダラハラ、バリャドリード、ポンテベドラ、ブルゴス、アリカンテの7県で捜索、14人を逮捕 |
| 11月7日(土) | 団体がマドリードで予定していたデモは中止(団体がSNSで発表) |
| 11月8日(日) | 10人がヒホンの裁判所へ。判事は10人を釈放し、出国禁止などを命じる |
発端はヒホンの学校の近くでのもめごと
捜査を指揮するのは、ヒホンの予審判事だ。発端は今年2月、イエズス会系の学校「ラ・インマクラダ」の近くで起きたもめごと。若者数人が、暴行を受けたと届け出た。
地元紙ラ・ヌエバ・エスパーニャによると、その前の2月21日に集会があった。場所は、この学校の壁にあるフランコ派の記念碑「シマンカスの英雄たち」の前だ。団体が主催を名乗った集会だ。州政府は、歴史の記憶に関する法律に基づいて記念碑の撤去を進めている。もめごとは、この集会のあとに起きた。州政府の幹部はこの集会を受けて、団体の解散を内務省に求める発言をした。ただし、正式な告発はしていない。
判事は検察の請求を認める
8日の朝、10人がヒホンの裁判所に入った。2人はヒホン、1人は近くのアビレスの住民で、7人はほかの地方から移された。ラ・ヌエバ・エスパーニャによると、残る4人は、逮捕された地方の裁判所で供述する。
ヒホン地区の検察が10人について求めたのは三つ。旅券の取り上げ、国外に出ることの禁止、毎週金曜日の裁判所への出頭だ。検察が挙げた容疑は、ヘイトの扇動と不法な結社の二つだった。
裁判所筋によると、判事は8日、10人を釈放した。そのうえで、この三つの措置をすべて命じた。判事は、10人全員にヘイトの扇動、不法な結社、武器の不法所持の三つの疑いがあるとみる。この見立ては、捜査の中で変わることがある。捜索では銃も押収された。ただ、ほぼ全員が銃の許可を持っており、銃の所持は罪に問えないという。疑いの対象は、メリケンサックやテーザー銃など、持つことが禁じられた武器だ。
解散には裁判所の決定が必要
エウロパ・プレスは、この団体を「ネオナチの集団」と呼ぶ。2023年11月、恩赦法に反対するマドリードの社会労働党本部前の抗議で名を知られた。今年7月末のセウタの大量越境のあとにも、抗議を呼びかけた。移民の大規模な正規化に反対する集会も開いてきた。
団体は、内務省の登録簿に「結社」として載っている。政党の登録簿には「ノビエンブレ・ナシオナル」の名前で届けた。法律では、結社の解散や活動の停止には、理由を示した裁判所の決定が要る。内務省は4月、極右団体の登録を拒む法的な余地はとても限られていると認めていた。
日本の読者への解説
逮捕された人たちは捜査の対象者で、有罪が決まったわけではない。判事は10人を勾留せずに釈放し、出国の禁止などを命じた。10人は身柄を拘束されないまま捜査を受ける。団体を解散させるかどうかは、法律上、裁判所が決める。団体が抗議の材料にしてきたセウタの情勢は、治安警察の最新の報告を伝えた記事に詳しい。スペインでは11月29日に総選挙がある。
主な出典:エウロパ・プレス(11月6日、7日、8日)、ラ・ヌエバ・エスパーニャ(11月6日、7日、8日)、RTVE(11月8日)、エル・コメルシオ(11月8日)、RTPA(11月8日)。判事の決定は、RTVE、ラ・ヌエバ・エスパーニャ、エル・コメルシオ(いずれも11月8日)が伝えた。

















