米国の映画監督ウディ・アレン氏(90)が、マドリードで撮影中の51作目の新作の一場面を、市中心部の王立植物園で撮った。植物園によると、アレン氏はこれまでの50作で植物園を撮影に使ったことがなく、今回が初めて。新作はマドリードと近郊のアランフエスで撮影が進む。外交とビジネスの世界を背景に、恋愛や浮気、隠し事が絡み合うコメディーだ。マドリード州とマドリード市が計300万ユーロを出し、題名に「マドリード」の語を入れる契約になっている。

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秋の場面、来園者の多くは気づかず

撮影は、国の研究機関CSICが運営する植物園の「エスクエラ2」と呼ばれる区画で行われた。アレン氏は長年組むエグゼクティブ・プロデューサーのエリカ・アロンソン氏と訪れ、マリア・パス・マルティン園長が撮影場所まで案内した。

秋の雰囲気の場面で、アレン氏はヤコブ・オフテブロ氏とアレクシ・ワッサー氏に演技の指示を出した。植物園によると、撮影は落ち着いた雰囲気で進んだ。大勢のスタッフがいたのに、来園者の多くは監督に気づかなかったという。

アレン氏はこれまでも、各地の庭園を作品の舞台にしてきた。『ミッドナイト・イン・パリ』のジヴェルニーやヴェルサイユ、『サン・セバスチャンへ、ようこそ』(原題 Rifkin's Festival)で撮ったサン・セバスティアンにあるアイエテ宮などだ。アレン氏は10月1日の発表会見で、2019年の夜を振り返った。マドリードの別の植物園、コンプルテンセ大学の王立植物園アルフォンソ13世でジャズを演奏した夜だ。その植物園の美しさに魅せられたという。

州と市が計300万ユーロ

新作は10月1日にマドリードで発表され、撮影は5日にオリエンテ広場から始まった。約6週間で、マドリードとアランフエスの30か所以上を回る。プラド通りやレティーロ公園、マラサーニャ地区もロケ地になった。仮題は「Wasp 2026」で、正式な題名は撮影の後に決める。

製作費は約1,200万ユーロ。州と市が150万ユーロずつ、計300万ユーロをスポンサー契約で出し、製作費の約4分の1を公費が担う。契約では、題名に「マドリード」を入れることが条件になっている。スペイン側の製作は、マドリードの映画会社ワンダ・フィルムズが担う。

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日本の読者への解説

アレン氏はこれまで、ローマ、パリ、ロンドン、バルセロナ、サン・セバスティアンなど欧州の街を舞台に映画を撮ってきた。新作でマドリードもその列に加わる。州は、映画やドラマの舞台を訪ねる「ロケ地観光」を観光戦略に掲げ、今回の支援もその一環と位置づけている。ロケ地のプラド通りやレティーロ公園、オリエンテ広場は、旅行者もよく訪れる場所だ。

アレン氏をめぐっては、養女のディラン・ファローさんが、7歳だった1992年にアレン氏から性的虐待を受けたと訴えている。アレン氏は否定している。米コネティカット州の検察官は1993年、起訴に足る相当な理由があるとしつつ、裁判にかければ本人を傷つけかねないとして起訴を見送った。一方、米イェール・ニューヘイブン病院の専門チームは、虐待はなかったと結論づけた。植物園も今回の声明で、監督への評価が私生活を理由に大きく分かれていることに触れた。

主な出典:王立植物園の発表を伝えたエウロパ・プレス(11月6日)とテレマドリード(11月7日)、ユーロニュース(10月1日)、ムンドシネ(10月2日)、ラ・カピタル(10月5日)、ハリウッド・リポーター スペイン語版(2025年10月31日)。

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