スペイン労働・社会経済省は4日、10月末の登録失業者(公共職業安定所に求職登録している人のうち、統計上の条件に当てはまる人)が前月より4万3,128人(1.81%)増え、242万2,633人になったと発表した。同じ日に包摂・社会保障・移民省が発表した社会保障の加入者は、10月の月平均で前月より18万6,612人多い2,262万4,165人で、過去最多だった。加入者の増え方は、10月としては統計史上最大だった。登録失業者はサービス業で、加入者は教育で大きく増えた。政府や労組は、観光シーズンの終わりや学校の新年度といった季節の動きを理由に挙げ、政府と労使は移民の特別な正規化手続きも両方の数字に影響しているとの見方を示した。前年同月と比べると、登録失業者は2万1,133人減り、加入者は78万4,573人増えている。

指標10月前月との差
登録失業者(月末)242万2,633人4万3,128人増
社会保障の加入者(月平均)2,262万4,165人18万6,612人増
加入者(季節・暦の影響を除く)2,257万1,105人9万309人増
外国籍の登録失業者(月末)42万7,407人2万7,744人増
外国籍の加入者(月平均)369万9,878人6万3,899人増
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登録失業者はサービス業と若者で増加、17の自治州すべてで増える

公共職業安定所(SEPE)の10月の集計表によると、登録失業者の増加は、業種別ではサービス業の2万6,853人(1.58%)が最も多かった。前の雇用の記録がない人の区分は1万2,715人(4.87%)増え、工業は1,911人、農業は1,547人、建設は102人増えた。季節の影響を除いた数字では、前月から9,405人増えた。季節調整前の増加数は、前の年の10月には2万2,101人だった。ホアキン・ペレス・レイ労働担当長官は会見で、今回の増え方は10月の過去の平均を下回るものの、ここ数年の一部の年は上回ったと述べた。

女性は2万2,700人増えて145万1,105人、男性は2万428人増えて97万1,528人になった。労働省によると、女性の人数は10月としては2007年以来の少なさだった。25歳未満は1万5,832人(8.37%)増えて20万4,973人だった。地域別では17の自治州すべてで増え、増加数はカタルーニャ(8,174人)、バレンシア州(6,716人)、カスティーリャ・イ・レオン(4,404人)の順に多かった。県と自治都市の単位では、減ったのはコルドバ、セビリア、セウタだけで、バルセロナ(4,869人)、マドリード(4,071人)、アリカンテ(3,400人)の増加が大きかった。

外国籍の登録失業者は前月末より2万7,744人(6.94%)増えて42万7,407人になった。この増加数は、全体の増加数の約64%にあたる(いずれも前月末との差)。前年同月と比べると9万2,224人(27.51%)多く、全体が1年で2万1,133人減ったのとは逆の動きだ。

社会保障の加入者は2,262万人、教育で大きく増える

包摂・社会保障・移民省によると、10月の加入者は月平均で2,262万4,165人だった。前年同月と比べると78万4,573人(3.6%)多い。季節と暦の影響を除くと2,257万1,105人で、前月から9万309人増え、69か月続けて増えている。登録失業者は月末、加入者は月平均の数字で、対象も違う。二つの増減を差し引いて、正味の雇用の増減や、仕事と失業の間を移った人数とみなすことはできない。

UGTによると、雇われて働く人の一般制度(自営業者の制度は含まない)では、10月に加入者が最も増えたのは教育で、16万5,994人増えた。建設(1万8,597人)、芸術・スポーツ・娯楽(1万7,705人)が続いた。一方で、飲食・宿泊業は4万4,974人、保健・社会サービスは2万8,639人減った。UGTは、夏の繁忙期と夏の応援の人員が終わったためだとしている。

自営業者は350万1,598人で、初めて350万人を超えた。女性の加入者は1,071万2,135人で、全体の47.4%を占める。政府によると、社会保障の加入統計でみた有期契約の割合は12.1%で、2021年10月の28.3%から下がった。SEPEによると、10月に結ばれた雇用契約は149万1,069件で、前年同月より1.29%少なかった。このうち無期契約は64万5,173件で、全体の43.27%だった。

外国籍の加入者は月平均369万9,878人で、加入者全体の16.4%にあたる。前月より6万3,899人、前年より59万8,378人増えた。移民の特別な正規化手続きに関連して加入している外国籍の人は、10月末時点で49万586人だった。出身国はコロンビアが27.6%、ベネズエラが15.7%を占める。同じ手続きに関連して、4月以降に少なくとも1日加入した人は55万7,410人いる。

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雇用と失業が同時に増える理由

ペレス・レイ労働担当長官は、登録失業者の増加の多くは10月にいつも見られる季節の要因によるものだと説明した。観光シーズンに結ばれた契約の終わり、学業を終えて仕事を探し始める若者の登録、学校の新年度の始まりを挙げた。UGTも、夏休み明けに教員や教育関係の職員が仕事に戻り、秋の農作業の時期も重なって加入者が増える一方、観光シーズンが終わり、夏に飲食・宿泊業や商業で働いた人の契約が切れると分析した。労組CCOOのウナイ・ソルド書記長は、夏に集中する業種への依存が大きすぎるため、毎年10月には観光業を中心に雇用が失われると述べた。

政府と労使がもう一つ挙げたのが、移民の特別な正規化手続きだ。ペレス・レイ氏によると、この手続きに関連する人のうち6万8,993人が、10月末時点で登録失業者だった。同氏は、手続きに関連して社会保障に加入している人はその約7倍いるとして、この人数は「ごくわずか」だと述べた。6万8,993人の75%は登録から2か月未満、20%は2週間未満だという。同氏は、採用の前の段階で起きる一時的で事務的な影響で、雇用の助成や公的なサービスを使うための登録も関係していると説明した。ボルハ・スアレス社会保障・年金担当長官は、外国籍の加入者の増加は10月の加入者の増加の34%にあたり、大部分はスペイン人の増加だと述べた。外国人の加入はスペイン人の仕事を奪うものではなく、人手の足りない職を埋めているとも主張した。

スペイン最大の経営者団体CEOEは、正規化で社会保障への加入が増えた一方、この手続きに関連する人が公共の職業紹介や就職支援の制度を使えるようになり、登録失業者も増えたと説明した。ソルド氏も、正規化で働く人と仕事を探す人が同時に増えており、仕事を探している人の全員がまだ職を見つけられたわけではないと述べた。

政府・労組・経営者団体の反応

政府報道官を兼ねるエルマ・サイス包摂・社会保障・移民相はSNSで、「右派が反対票を投じた労働改革のおかげで、有期雇用の割合は2021年10月の半分以下になった。誰が政権を担うかで違いが出る」と書いた。RTVEによると、ヨランダ・ディアス第2副首相兼労働相は、10月の契約の約43%が無期契約だったことに関連して、SNSで「労働改革の前は10%に届かなかった」と書いた。

UGTは、雇用の強さが働く人の購買力に十分につながっていないと指摘した。正規化の申請の審査が遅いとして、外国人の手続きを扱う窓口の体制を強めることも求めた。CCOOのソルド氏は、雇用は「今のスペイン経済で基本的に最もよい指標」だと評価した。CCOOとUGTは、住宅と賃金を掲げて11月11日に全国ゼネストを予定している。

CEOEは、10月の数字は、物価の上昇が続く国際環境や「目先のことばかりで選挙目当て」の国内政治の中での、スペインの企業の国に対する責任ある取り組みを表していると主張した。加入者の数はそのまま実際に働いている人の数ではないとも指摘し、家族の介護者のための特別な加入や職業実習を例に挙げた。CEOEは仕事のない時期にいる断続的な無期雇用(フィホ・ディスコンティヌオ)の人も例に挙げたが、社会保障省の統計の説明では、この期間の人は加入者に数えない。CEOEはまた、登録失業者に含まれないほかの求職者を加えると300万人を超えると主張した。この数字は、登録失業者やEPAの失業者とは対象が違う。スペインの失業率は、なお欧州連合(EU)と経済協力開発機構(OECD)で最も高い国の一つだとも述べた。

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日本の読者への解説

スペインの失業の統計は2種類ある。今回の登録失業者は、公共職業安定所に求職登録している人のうち、統計上の条件に当てはまる人を毎月数えた行政の記録だ。日本でいえば、ハローワークの窓口のデータから出す厚生労働省の統計と同じく、窓口の記録をもとにしている。もう一つは、国立統計局(INE)が年間を通して世帯を調べ、3か月ごとに結果を発表する労働力調査(EPA)で、10月27日に発表された7〜9月期の失業率10.18%がそれにあたる。日本の総務省の労働力調査の完全失業率と比べるなら、同じく世帯を調べるEPAの失業率が参考になる。ただし、求職活動の期間など細かな定義には違いがある。EPAは窓口に登録していない求職者も含むため、2つの統計の人数は一致しない。

社会保障の加入者数は、雇用の動きを毎月つかむ数字としてスペインでよく使われる。ただ、家族の介護者のための特別な加入や、雇用契約のない企業実習なども加入者に含まれるため、働いている人の数とまったく同じではない。

スペインは夏の観光に頼る部分が大きく、10月はシーズンが終わって失業が増えやすい。エウロパ・プレスによると、比較できる1996年以降、10月に登録失業者が減ったのは2021年と2022年の2回だけだ。今年はこれに、移民の特別な正規化手続きが重なっている。正規化に関連して社会保障に加入した人も、登録失業者になった人もいるため、ひと月の増減だけで雇用が良くなったか悪くなったかを判断しにくい。季節の影響を除いた数字(登録失業者は9,405人増、加入者は9万309人増)や、前年同月との比較もあわせて見たい。

スペインで仕事を探す在住者にとっては、全国の数字よりも、働きたい地域と業種の動きのほうが参考になる。10月は一般制度で、教育の加入者が大きく増え、飲食・宿泊業では減った。観光業で働く人にとって、秋から冬は仕事が減りやすい時期だ。

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