スペイン・バルセロナの中心部で24日(土)の夕方から夜にかけて、SNSで呼びかけられた若者の集まりが暴徒化し、カタルーニャ広場の周辺で商店の略奪や放火が相次いだ。カタルーニャ州のヌリア・パルロン内相は23時すぎの記者会見で、少なくとも100人を拘束し、その約4分の1が未成年だと明らかにした。破壊に加わったのは組織されていない約500人で、約14の商店が荒らされた。消防は中心部の33か所(多くは小さな火)で消火にあたった。集まりは警察に届け出のないもので、スペインのメディアによると、呼びかけは「怒れる中高生(Instituts Indignats)」の標語でSNSに広まった。近郊線ロダリエスはカタルーニャ広場駅に停まらず、カタルーニャ鉄道(FGC)も同駅まで行かなかった。地下鉄のカタルーニャ駅も閉鎖または出入りが制限されたと報じられている。サルバドール・イリャ州首相とジャウマ・コルボニ市長は暴力を非難し、責任を問うと表明した。当サイトは24日夜に騒乱の第一報を伝えており、この記事はその続報になる。情報は24日23時半時点のもので、州内務相は夜のうちに拘束者がさらに増える可能性があるとしている。
何が起きたか
カタルーニャの公共放送3Catや地元紙、通信社の報道によると、経過は次のとおり。
| 時刻(24日) | 出来事 |
|---|---|
| 午後 | 州警察(モッソス・ダスクアドラ)の車両がカタルーニャ広場の周りを回り、警戒を固める |
| 17時ごろ | SNSでの呼びかけに応じ、フードをかぶった若者数十人が広場に集まる。集まりが始まった時には「体制に反対、学校は闘争中」と書いた横断幕が掲げられた(原文の「instituts」は、日本の中学・高校にあたる中等学校) |
| 18時ごろから | 州内務相によると、商店の破壊が始まる。3Catによると、携帯電話や電子機器の店が略奪され、服飾や宝飾の店でも盗みが相次ぎ、飲食店も荒らされた |
| 18時30分ごろ | 州警察の最初の突撃で、若者たちが周辺の通りへ散る |
| 19時前後 | 商業施設エル・トリアングルの前に路上の設備でバリケードが築かれ、設備やバイクなどの車両に火が付けられる。バス停の待合所のガラスが割られ、グラシア通りでは自転車が燃やされた。市警はウニベルシタットからウルキナオナにかけて、広場への進入を止めた |
| 20時ごろ | 州警察が再び突撃する |
| 21時45分ごろ | 火はすべて消え、州警察が広場から人を退かせる |
| 22時すぎ | 広場の周辺は落ち着きを取り戻すが、周りの通りでは騒ぎが続く |
| 23時すぎ | コルボニ市長とパルロン州内務相が緊急の記者会見を開き、少なくとも100人を拘束したと発表 |
州警察は、この集まりは事前に届け出がなかったと説明している。地元テレビのbetevéによると、警察官の多さに驚いた通行人や観光客も多かった。地元紙によると、市は数日前からSNSでの呼びかけを把握し、路上のがれきやごみ容器を片付けるなどの予防策を取っていた。
拘束者と被害
パルロン州内務相の説明では、拘束されたのは少なくとも100人で、約4分の1が未成年(報道によって25〜30人前後)。破壊に加わった人数について、州内務相は約500人としたが、地元紙ラ・バングアルディアは600人を超えたと伝えている。州警察は機動隊(BRIMO)を含む210人を超える警察官を出動させ、バルセロナ市警と消防が支援した。消防が消火にあたったのは中心部の33か所で、多くは小さな火だった。警察官にも負傷者が出たと一部で報じられているが、負傷者の数は公式にはまだ発表されていない。
パルロン内相は、破壊に加わったのは組織された集団ではなく、特定の要求と結びついた行動でもないと述べた。現場の警戒は夜も続いており、拘束者はさらに増える可能性があるという。
交通と街への影響
国鉄レンフェはカタルーニャ広場駅を閉鎖し、近郊線ロダリエスは同駅に停まらなかった。カタルーニャ鉄道(FGC)のバルセロナ・バリェス線は、州警察の指示でプロベンサ駅で折り返し、終点のカタルーニャ広場駅まで行かなかった。地下鉄については、地元紙メトロポリ・アビエルタがバルセロナ交通局(TMB)の関係者の話として、州警察の要請でL1線とL3線のカタルーニャ駅を閉鎖し、列車が停まらなかったと報じた。ラ・バングアルディアは、駅は閉鎖せず出入りを制限したと伝えている。市警は広場の周辺で交通を止め、ランブラ・デ・カタルーニャ通りも通行止めになった。広場に面した百貨店エル・コルテ・イングレスは、多くの客が中にいる状態でシャッターを下ろし、グラシア通りの店も閉まった。州警察はX(旧ツイッター)で、安全のため広場に近づかないよう呼びかけた。
政治の反応
イリャ州首相はXで、抗議は民主的な権利だが「暴力を正当化する理由はない」と述べ、州警察を支持したうえで「やった者には必ず償わせる」と書いた。パルロン内相も「このような行為はカタルーニャでは許されない」と非難した。
コルボニ市長は緊急の記者会見で「起きたのは理由のない暴力と破壊行為だ」と述べ、市として法的な手続きに加わり、破壊に関わった成人と、未成年の親の責任を追及すると表明した。「これで終わると思わないでほしい」とも語った。地元紙ラ・バングアルディアによると、州政府も同じように手続きに加わる。
カタルーニャ広場の中央では、9月29日から住宅問題を訴える人たちの泊まり込み(アカンパダ)が続いている。市長は今回の騒ぎを「泊まり込みとは関係ない」とし、泊まり込みの参加者も、この集まりや暴力とは無関係だと表明した。パルロン内相は、ほかの欧州の首都をまねる「鏡の効果」があったかもしれないとしつつ、「ここでは毅然と対応する」と述べた。
背景:フランスの高校生の抗議
フランスでは、9月に高校から広がった生徒の抗議が生活費への不満と合流し、10月17日の全国デモで略奪や放火が相次いだ(当サイトの10月18日の記事)。スペインのメディアは、バルセロナの呼びかけの標語「怒れる中高生」を、フランスの高校生の抗議を指す「Lycées Indignés」の言い方にならったものだと伝えている。当サイトは24日昼、スペインでもフランスのような暴動が起こりうるかを数字で比べた論考(10月24日の記事)で、スペインの最近の衝突は1件あたり十数人以下の逮捕にとどまると書いたが、今回の拘束者数はその規模を大きく上回った。
日本の読者への解説
カタルーニャ広場は、空港バスや近郊線、地下鉄が集まるバルセロナの交通の中心で、観光客も必ずと言ってよいほど通る場所だ。土曜の夕方、届け出のないSNSの呼びかけによる集まりが略奪や放火に広がったことで、市と州は強い対応を打ち出している。呼びかけは数日前からSNSで出回っており、市は事前に予防策を取っていた。地元紙エル・ペリオディコによると、参加者のチャットでは、10月31日に再び街に出る案や、11月11日の全国ゼネストのデモに合わせる案も出ている。
現地に滞在している人は、当面、カタルーニャ広場とその周辺に近づかないようにしたい。報道によると、騒ぎは広場のほか、ペライ通りやポルタル・デ・ランジェル、ランブラス通りの広場側、ロンダ・ウニベルシタットなどにも及んだ。鉄道や地下鉄、空港バスの停留所や運行の情報は、ロダリエスやFGC、バルセロナ交通局(TMB)、空港バス(Aerobús)の公式サイトやSNSで確かめるのが確実だ。拘束者や負傷者の数は、今後の発表で変わる可能性がある。













