スペイン中部トレド県のロス・イェベネスとウルダの間の高速鉄道で、10月28日午前8時54分ごろ、マドリード発セビリア行きの列車2本が衝突した。カスティーリャ・ラ・マンチャ州政府は同日13時50分ごろ、死者が少なくとも64人(Iryoの乗客40人、AVEの乗客24人)に増えたと明らかにした。同じ路線で1月にコルドバ県アダムスで起きた事故の死者46人を上回る。州政府などによると、前を走っていた民間鉄道会社Iryoの列車に、後ろから来た国鉄RenfeのAVEが追突し、車両が盛り土の斜面から転落した。治安警察隊は、Iryoは衝突の前に止まっていたとしている。2本には合わせて約540人が乗っていた。マドリードとアンダルシアを結ぶ高速線は運行が止まり、再開の見通しは立っていない。原因は調査中で、日本人の被害は14時20分の時点で報じられていない。

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止まっていた列車に後続のAVEが追突

事故が起きたのは、マドリードからシウダー・レアル、コルドバを経てセビリアに向かう高速線の118キロ地点。AVE2080便はマドリードのプエルタ・デ・アトーチャ駅を午前8時に出発し、セビリアのサンタ・フスタ駅に10時39分に着く予定だった。同じ方向に向かっていたIryoの6076便に、このAVEが後ろから追突した。

州政府や地元メディアによると、Iryoの後ろの車両など少なくとも2両が脱線し、盛り土の斜面から転落した。治安警察隊によると、Iryoは衝突の前に5〜10分ほど止まっていた。州政府の報道官によると、乗客はAVEが397人、Iryoが乳児1人を含む147人だった。

死者は少なくとも64人に、Iryoの乗客が40人

州政府は13時50分ごろ、死者を少なくとも64人に引き上げた。内訳はIryoの乗客が40人、AVEの乗客が24人。ガルシア・パヘ州首相が正午すぎに発表した時点では少なくとも30人(AVE24人、Iryo6人)で、Iryoの死者が6人から40人に増えた。州首相は昼の時点で、救助隊がまだ車両の奥まで入れていないとして、「残念ながら、さらに亡くなった人が見つかることは分かっている」と述べていた。14時すぎにも、さらに見つかる可能性があると話している。州政府の報道官によると、けが人は全員が車両の外に運び出された。

州政府筋によると、けが人は約80人。州首相が13時すぎに示した救急の区分では、重篤が15人、中等症が約50人だった。中等症の中にも非常に重い人が含まれている。トレド、シウダー・レアル、アルカサル・デ・サン・フアンの病院が受け入れ、急ぎでない手術を取りやめた。マドリード州も、ラ・パス、12デオクトゥブレ、ヘタフェの3病院で受け入れの態勢を取り、一部のけが人はすでにマドリードに運ばれた。

死者数は、午前中から報道によって大きく違った。州政府は午前10時すぎに「少なくとも10人」、昼前に「少なくとも30人」とし、13時50分ごろに64人とした。途中では、市民保護当局の話として46人や50人とする報道も出ていた。プエンテ運輸相は14時から、マドリードのアトーチャ駅で記者会見を開く予定とされていた。発言の内容は続報で伝える。

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原因は調査中

Adifは、原因はまだ特定できていないとしている。管轄するオルガスの裁判所の予審判事が捜査を担当し、治安警察隊も鑑識などの部隊を出した。州は緊急対応計画を一段引き上げ、軍の緊急部隊(UME)約100人も救助に加わっている。

複数の新聞が政府筋の話として伝えたところでは、主な信号システムが故障していた中で、運行管理の担当者が誤ってAVEに進行を許したことが、ひとつの可能性として調べられている。ただし、これは匿名の関係者の見立てで、公式に発表された原因ではない。気象情報会社のメテオレッドは、当時の天候が事故に影響した可能性はないとしている。

鉄道の運行と切符、家族の窓口

Renfeは、マドリードとシウダー・レアル、アンダルシアの間の運行が止まっているとして、影響を受けたすべての列車の変更と取り消しを無料にした。Iryoも、マドリード発の南方面の全便を取りやめ、再開の見通しはないとしている。Ouigoも、28日のマドリードとアンダルシアの間の8便を取りやめた。イベリア航空は、アンダルシア発着の便の運賃に、11月8日まで上限(1区間あたりエコノミー99ユーロ、ビジネス149ユーロ)を設けた。Adifによると、12時56分の時点で、マドリード〜トレド間と、マラガ〜セビリア間は通常どおり走っている。Renfeの無料の変更・取り消しは、Iryoなど他社の切符には自動では適用されないため、切符を買った会社の案内を確かめたい。

事故の被害者と家族のための電話窓口は、Renfeが900 10 10 20、Iryoが900 001 403。Adifは、アトーチャ、セビリアのサンタ・フスタ、コルドバのフリオ・アンギータの3駅に、家族向けの窓口を設けた。治安警察隊は、身元の確認のため、行方が分からない人の1親等の家族に、マドリード、セビリア、コルドバ、トレドの拠点でDNAを提供するよう呼びかけている。

機関士の労働組合Semafは、29日に予定しているRenfeの24時間ストと、30日から予定しているOuigoのストについて、実施するか延期するかを近く決めるとしている。14時20分の時点で、どちらの決定も報じられていない。最低運行の内容は、29日のRenfeストの既報と、Ouigoのストの既報にまとめている。

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各地で追悼、行事の取りやめ相次ぐ

サンチェス首相は予定を取りやめ、重大な事故に衝撃を受けていると表明した。国王フェリペ6世はガルシア・パヘ州首相と電話で話した。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「きょう、欧州はあなたたちとともに泣いている」と弔意を示した。

上院は28日と29日の活動をすべて取りやめ、下院も28日に予定していた式典を取りやめた。スペインサッカー連盟は、28日に予定していた国王杯の試合を延期した。11月29日の総選挙に向けた運動も、多くの党が取りやめた。Voxは予定どおり続けるとしている。セビリア市は3日間の服喪を決めた。市町村連合(FEMP)の呼びかけで、全国の市町村の庁舎の前では、20時に1分間の黙とうが行われる。マドリードで予定されていた農業団体のトラクター行進は、犠牲者を悼む集まりに切り替えられ、マドリードの医師は、犠牲者と家族への敬意から29日と30日のストを取りやめた(ストの既報)。

日本の読者への解説

スペインの高速鉄道では、今年1月18日にもコルドバ県アダムスで、脱線したIryoの車両に対向のAlviaが衝突し、46人が亡くなった。この事故も、今回と同じマドリード〜セビリア線で起きた。鉄道事故調査委員会(CIAF)は4月、レールの破断が原因とする暫定の報告を裁判所に送ったが、責任を問う司法の捜査は続いている。今回の死者はすでにその46人を上回り、同じ路線で1年のうちに2度、数十人が亡くなる事故が起きたことになる。鉄道の安全管理が改めて問われそうだ。

マドリードからセビリア、コルドバ、マラガ、グラナダへ高速鉄道で移動する予定の人は、乗る列車の会社の公式案内で運行を確かめてほしい。家族や知人が乗っていた可能性がある場合は、上の電話窓口や、在スペイン日本国大使館に問い合わせることができる。この記事は28日14時20分ごろまでの情報に基づいている。死者数などは今後変わる可能性があり、新しい発表があれば続報で伝える。

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