バルセロナ市は11月3日、信号の切り替えに人工知能(AI)を使う実証実験に、ケプシュ(Kapsch)とアシサ(Acisa)の2社の案を選んだと発表した。市と見本市運営のフィラ・デ・バルセロナが立ち上げ、モバイル・ワールド・キャピタル財団も加わる、交通の課題を企業に解いてもらう公募の枠組み「バルセロナ・イノバ・ラボ・モビリティ(Barcelona Innova Lab Mobility、BILM)」によるもので、市は2社にそれぞれ10万ユーロを出す。2社は、交差点がいくつも続く通りや地区で少なくとも4カ月、実際の交通の流れに合わせて信号を調整する仕組みを試す。歩行者やバス、救急車などを優先する使い方も想定している。市によると、事業は年末に始まり、2027年の終わりごろに市内の実際の区域で試験を行う見込み。市の発表には、具体的な実施場所は記されていない。公募には14カ国から26件の応募があった。

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交差点ごとに判断するAIと、通り全体を予測するAI

ケプシュの案「Matcab」は、決まった時間で切り替えるのではなく、交差点ごとの交通の求めに応じて信号の長さをその場で変える。強化学習と呼ばれる手法で、たくさんのシミュレーションから学ぶ。交差点ごとに判断役の「エージェント」を置き、それぞれの状況に合わせて判断しながら互いに調整して、渋滞を別の場所に移さないようにする。歩行者や公共交通、救急車や消防車の通行を優先する設定をあらかじめ用意し、必要なときに切り替えることもできる。いまの設備にも組み込める可能性があるという。事業費は35万8,185ユーロで、うち10万ユーロを市が出す。

アシサの案「Mobia」は、通りの道路網をデジタル上に写し取った「デジタルツイン」をつくり、センサーや、車と道路設備などが通信する「V2X」の仕組みから集めたデータで、この先の交通の動きを予測する。複数の判断役を持つAIが、通りにある交差点をまとめて連携させ、歩行者や公共交通の優先、排出の削減など、決めた目的に合わせて信号の周期を変える。いまの設備への手入れは最小限で済み、現在の仕組みを比べる基準として残す。事業費は17万7,865ユーロで、同じく10万ユーロを市が出す。

信号へのAI導入の「第0段階」

市の発表によると、26件の応募のうち19件は国際的な応募だった。取り組みはカタルーニャ工科大学(UPC)と進めてきたもので、市の交通部門とUPCがまとめた調査の工程表に沿った、AI導入の最初の一歩にあたる。市は今回の実証を、信号の管理と制御にAIを広げていく「第0段階」と位置づけ、得られた知見を次に生かすとしている。実証は交差点が複数ある通りや地区の単位で行い、AIを使う前に、選ばれた2社が設備の手直しとセンサーの設置を行う。

発表は、スマートシティの国際見本市「スマートシティ・エキスポ世界会議」の一部として開かれた「トゥモロー・モビリティ」で行われた。エウロパ・プレスによると、ライア・ボネット第1副市長は、信号の制御は「移動をより効率的で持続可能に、バランスよく管理する助けになる、特に重要な課題」だと述べた。BILMには、地下鉄とバスを運行するバルセロナ交通局(TMB)と、域内の公共交通をまとめる首都圏交通公社(ATM)が新たに加わった。車と道路設備などをつなぐV2Xの技術を試す次の公募「バルセロナ・コネクテッド・モビリティ」も近く始める。

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