11月3日(火)の午前、欧州各地で少なくとも7便の旅客機に爆破予告があった。ロイター通信などが挙げたこの7便の行き先は、ポーランドのワルシャワ、イタリアのローマ、ブルガリアのソフィアが2便ずつ、スペインのムルシアが1便で、いずれも着陸後の検査で爆発物は見つからなかった。英国の警察は、ヒースロー空港を発着予定の4機などへの脅威を把握したと説明しており、7便とどこまで重なるかは明らかにされていない。ワルシャワ行きのLOTポーランド航空の便は近くのモドリン空港に行き先を変え、同空港は一時閉鎖された。ローマ行きの1便には、イタリア空軍の戦闘機2機が付き添った。スペインでは、英国のマンチェスターを出たライアンエアの便がムルシア国際空港(コルベラ)に着陸し、乗客114人と乗員7人が機外に出て安全検査を受けた。治安警察(グアルディア・シビル)の爆発物処理班が機内を調べたが爆発物はなく、脅威は否定された。スペインのテレビ局ラ・セクスタによると、ムルシア空港は2時間余り閉鎖され、13時に再開した。閉鎖のため到着予定の1便がアリカンテ空港に行き先を変え、出発便にも遅れが出たと報じられている。ロイター通信によると、3日夕の時点で犯行声明は出ておらず、当局も責任者を公表していない。ブルガリアの国境警察は、同国行きの2便への予告は1通のメールで届いたと説明したが、7便の予告の送り主が同じかどうかは確認されていない。前日の2日にも、ロンドン発ソフィア行きのウィズエアの便が予告を受け、ハンガリーのブダペストに降りていた。

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ムルシアの空港で何があったか

治安警察によると、予告はライアンエアが直接受けた。エル・エスパニョール紙は、10時5分ごろに予告についての通報があり、セビリアにある同社の拠点が空港を運営するAenaと緊急通報の112に知らせたと報じた。同社が予告そのものを受けた正確な時刻と、予告が電話だったのかメールだったのかは、明らかにされていない。

Aenaの説明を伝えたエウロパ・プレス通信によると、機体は10時30分、予定の時間内に着陸した。10時50分とする報道もある。緊急着陸や行き先の変更ではない。ムルシア州のスペイン政府代表部によると、乗客114人と乗員7人は離れた区域に移され、国家警察の安全検査を受けた。アリカンテから来た治安警察の爆発物処理班(TEDAX)が機内を調べ、消防や112の医療班も出動した。空港には危機対策の委員会が置かれた。エル・エスパニョール紙は現場から、乗客がプライベートジェット用のターミナルに移され、救急車の医療スタッフの対応を受けたと伝えた。乗客の一人は英BBCに、着陸すると機体が「かなり急に」止まり、「消防車と警察と爆発物処理班に囲まれた」と話した。

政府代表のフランシスコ・ルーカス氏は、治安警察が爆発物を見つけなかったため脅威は否定されたと発表し、空港の活動は再開して「全く通常どおり」動くと述べた。エル・エスパニョール紙によると、Aenaは13時過ぎに緊急事態の解除を確かめた。

ラ・セクスタによると、空港は2時間余り閉鎖され、13時に再開した。Aenaの関係者は同局に、着陸の時点で保安の手順が始まり、運用が制限されたと説明した。同局によると、閉鎖のため、グラン・カナリア島から12時20分に着く予定だったビンター航空の便がアリカンテ空港に行き先を変えた。エル・エスパニョール紙は、マンチェスター行きのライアンエアの便とグラン・カナリア行きのビンターの便に遅れが出たとの構内放送を現場で聞いたと報じた。

7便の一覧

時刻は各空港の現地時間(ブルガリアはスペインより1時間進んでいる)。

行き先便対応と結果
ムルシア(スペイン)ライアンエア、マンチェスター発10時30分に予定の時間内に着陸(Aena。10時50分とする報道もある)。乗客114人と乗員7人が機外に出て検査を受けた。爆発物なし。
ワルシャワ(ポーランド)LOTポーランド航空、ロンドン・ヒースロー発9時54分に警報が出て、7分後にモドリン空港に着陸。搭乗者は181人。モドリン空港は一時閉鎖され、空港は12時21分に警報を解除したと発表した。爆発物なし。
ワルシャワSAS、コペンハーゲン発予定どおりショパン空港に着陸し、検査を受けた。滑走路1本を一時閉じたが、空港は運用を続けた。爆発物なし。
ローマ(イタリア)ライアンエア、ダブリン発空軍がグロッセート基地からユーロファイター2機を発進させ、目的地まで付き添った。フィウミチーノ空港で検査。爆発物なし。
ローマライアンエア、リスボン発フィウミチーノ空港で検査。爆発物なし。
ソフィア(ブルガリア)ウィズエア、イタリア・ベルガモ発乗客176人。11時10分に着陸し、検査を受けた。爆発物なし。
ソフィアライアンエア、ダブリン発乗客数は報道によって185人と186人に分かれる(ロイター通信も記事によって異なる)。着陸後に検査を受けた。爆発物なし。

「7便」はロイター通信などの報道機関による集計で、各国の当局がまとめた数ではない。スペインのエウロパ・プレス通信は7便のうち5便がライアンエアだとしたが、ブルガリア運輸省の説明を伝えたロイター通信は、ベルガモ発の便をウィズエアとしている。こちらに従うと、ライアンエアの便は4便になる。初期には「イスラエル発の便」に予告があったとの情報も出たが、ブルガリア当局は、対象はベルガモ発とダブリン発の2便だと説明した。

英国のロンドン警視庁は、3日午前にヒースロー空港を発着予定の4機と、マンチェスター空港の1機への脅威を把握したと説明した。各航空会社の評価で、保安上の問題は見つからなかったという。表の7便とどこまで重なるかは、明らかにされていない。英政府は、ヒースローとマンチェスターから欧州に向かった2機への予告を「悪意のあるいたずら」と呼んだ(英PA通信)。

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誰が、何のために

ロイター通信は3日夕の時点で、犯行声明は出ておらず、当局も責任者を公表していないと伝えた。ブルガリアの国境警察は同国の通信社BTAに、ソフィア行き2便への予告は、現地時間の10時35分ごろに届いた1通のメールに含まれていたと説明した。AP通信は、ローマ行きのリスボン発の便についても、爆弾があるとのメールが届いたと空港の関係者の話として伝えた。各地の予告の文面が同じだったか、送り主が同じかは確認されていない。

航空保安の情報会社オスプレイ・フライト・ソリューションズのマシュー・ボリー氏はAP通信に、模倣、個人や集団による複数の予告、国家やその支持者による「ハイブリッド戦」といった複数の可能性を挙げた。これは専門家の仮説で、当局の見方ではない。3日20時ごろまでに、今回の予告について特定の国や組織の関与を指摘した当局は見当たらない。

相次ぐ予告

前日の2日には、ロンドン・ルートン発ソフィア行きのウィズエアの便が飛行中に予告を受けた。ハンガリーの戦闘機に付き添われてブダペストに降り、検査で爆発物は見つからず、同じ日のうちにソフィアへ向かった。10月18日には、テルアビブ発ウィーン行きのオーストリア航空の便が予告を受けてソフィアに着陸している。スペインでも10月26日、バルセロナ発グラン・カナリア行きのブエリングの便が予告を受けて検査されたと、観光業界紙オステルトゥールが伝えた。

欧州では11月1日夜から2日にかけて、スーパーなどの冷蔵・冷凍設備にサイバー攻撃とみられる障害も相次いだ(関連記事)。時期は近いが、当局が二つの出来事を結びつけた発表はない。

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便が遅れたり欠航したりしたら

EUの旅客の権利の規則は、EU域内の空港を出る便や、EUの航空会社でEUに着く便などに適用される。予告そのものではなく、それによる欠航や遅れが生じた場合に権利が問題になる。

最終目的地への到着が3時間以上遅れた場合などは、定額の補償の対象になり得る。ただし、欧州委員会の案内では、保安上のリスクは補償を払わなくてよい「特別な事情」の例に挙げられている。航空会社が、その事情が原因で、合理的な手を尽くしても避けられなかったことを示せば、定額の補償は免除される。今回の各便の乗客に補償が出るかどうかは、一律には言えない。

特別な事情があっても、欠航や一定時間以上の出発の遅れでは、航空会社から食事や飲み物などの支援を受ける権利がある。出発の遅れの場合、支援が受けられる待ち時間は飛行距離によって2〜4時間以上と決まっている。出発が翌日以降になり宿泊が必要な場合は、宿泊と空港との移動も対象になる。欠航の場合は、航空券の払い戻しか振り替えを選べる。出発が5時間以上遅れて旅行を取りやめる場合も、払い戻しを選べる。まず航空会社に支援を求め、提供されずに自分で払った場合は、必要で合理的な費用について、領収書を添えて払い戻しを請求できる。今回の便について、ライアンエアが乗客向けに補償や振り替えの詳しい案内を出したかは確認できていない。日本人の乗客がいたかどうかも、報じられていない。

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