アレックス・バエナ(Álex Baena)は、スペイン代表とアトレティコ・マドリードでプレーする25歳のMFだ。2001年7月20日、アンダルシア州アルメリア県のロケタス・デ・マルで生まれ、ビジャレアルの下部組織で育った。2025年7月にアトレティコへ移籍し、背番号10を背負う。代表ではEURO2024、パリ五輪、2026年ワールドカップの優勝を経験した。日本での注目が一段と高まったのは、9月26日(現地時間)のネーションズリーグ、ウェンブリーでのイングランド戦だ。後半に途中出場すると、同点ゴールを決め、決勝点もアシストして、スペインの3-2の逆転勝ちに貢献した。本来の利き足は右だが、主に左サイドで攻撃を組み立てる。日本の久保建英と同じ2001年生まれで、2人はクラブの試合でも何度も顔を合わせている。
ウェンブリーで1得点1アシスト
9月26日、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたネーションズリーグの初戦で、バエナは55分ごろにニコ・ウィリアムズに代わってピッチに入った。スペインが1-2とリードされていた60分、ダニ・オルモのパスを受けて右足のミドルシュートを決め、同点に追いついた。74分には、オヤルサバルの決勝点につながるスルーパスを通した。試合後には「僕らに勝つのはとても難しい。チームとして一緒に攻めて、一緒に守るからだ」と語っている。
3日後の9月29日、セビージャで行われたクロアチア戦(4-1)でも、試合開始直後のラミン・ヤマルの先制点をアシストした。この2試合は日本のサッカーメディアでも大きく取り上げられた。
ビジャレアルで頭角、アトレティコへ
地元のクラブを経て、2011年にビジャレアルの下部組織に入った。トップチームでのデビューは2019-20年シーズン終盤の2020年7月13日、レアル・ソシエダ戦で、翌2020-21年シーズンにはクラブのヨーロッパリーグ優勝も経験している。2021-22年シーズンには当時2部のジローナに期限付きで移籍し、1部昇格に貢献した。
ビジャレアルに戻ると攻撃の中心になり、2023-24年シーズンにはラ・リーガで最も多い14アシストを記録した。2025年7月2日、アトレティコ・マドリードへの移籍が発表された。契約は2030年6月までの5年で、報道によると移籍金は固定で4,200万ユーロ、条件を満たせば最大で1,300万ユーロが上乗せされる。
移籍1年目は苦しんだ。デビュー戦の3日後の練習で筋肉を軽く痛め、その後も虫垂炎の手術や太ももの故障で離脱が続いた。2年目の今季は出だしが好調で、8月29日のセビージャ戦では2ゴールを決めている。
EURO、五輪、ワールドカップを制した
スペイン代表には2023年に初めて招集され、9月12日のキプロス戦(6-0)で、途中出場からわずか1分後にゴールを決める鮮烈なデビューを飾った。2024年はEUROで優勝メンバーに入り、夏のパリ五輪では決勝のフランス戦でゴールを挙げて金メダルを手にした。
2026年のワールドカップでは、スペインが決勝でアルゼンチンを延長戦の末に1-0で破り、2010年以来2度目の優勝を果たした。バエナは6月26日のグループ最終戦、ウルグアイ戦で決勝点を挙げ、このゴールを、4月に13歳で病気のため亡くなったファンの少女に捧げた。試合の日は、少女の14歳の誕生日にあたっていた。決勝にも先発している。EURO、五輪、ワールドカップの3つをすべて制したスペイン代表の選手は、報道によると彼だけだ。
プレースタイル
アトレティコはバエナを「突破力とシュート力、視野の広さを持つMF」と紹介している。左サイドを起点に、相手の守備ラインの間で受けて前を向き、精度の高いラストパスや、右足のミドルシュートで攻撃を加速させるのが持ち味だ。中盤のどの位置でもプレーできるが、クラブはとくに中盤の左側で力を発揮する選手と位置づけている。
バルベルデとの一件
バエナの名前が広く知られた背景には、プレーとは別の出来事もある。2023年4月8日、マドリードでのレアル・マドリード戦の後、バエナは駐車場でレアルのフェデリコ・バルベルデに殴られたと訴え、警察に届け出た。バルベルデ側は、それ以前の試合でバエナが家族について侮辱的な発言をしたと主張したと報じられたが、バエナは否定した。バルベルデ本人は、その発言の有無について公に肯定も否定もしていない。裁判所は2023年6月、犯罪の事実が十分に立証されていないとして審理を暫定的に打ち切り、スペインサッカー連盟の競技委員会も7月に処分を見送った。どちらの主張が正しかったかは、公式には決着していない。
日本の読者への解説
バエナと久保建英は、どちらも2001年生まれだ。左利きで右サイドから切り込む久保に対し、バエナは右利きで左サイドを主戦場にする。ポジションも利き足も、ちょうど鏡のような関係にある。
2人のチームは大舞台で何度もぶつかってきた。パリ五輪の準々決勝では、スペインが日本を3-0で破り、そのまま金メダルまで駆け上がった。2026年4月の国王杯決勝では、久保のレアル・ソシエダがバエナのアトレティコを延長2-2の末にPK戦で破り、優勝した。
日本ではまだ「名前を聞いたことがある」程度の選手かもしれないが、スペイン代表の2列目でもっとも勢いのある一人だ。ヤマルやニコ・ウィリアムズと並んで、これからスペイン代表の試合を見るときに名前を覚えておきたい選手と言える。スペインは10月3日(現地時間)、オビエドでチェコとネーションズリーグの第3戦を戦う。
5月のワールドカップ代表選出時の記事はこちら。













