マドリード州の公立学校の教員が、10月14日(水)から無期限のストに入る。CCOO、UGTなど9つの労組・団体でつくる統一スト委員会の呼びかけで、終わりの日は決めず、要求が受け入れられるまで続けるとしている。対象は大学を除く公立校の公務員教員で、幼児教育、小学校、中学・高校、職業訓練(FP)、特別支援学校などが含まれる。これとは別に、公務員労組のCSIFが14〜16日の3日間に終日ストを行い、その後は12月18日まで、指定日に朝9〜11時と夕方17〜19時の部分ストを行う。要求の柱は、週の授業時間を中学・高校とFPで17コマ、小学校で22コマに減らすことと、月600ユーロの賃上げだ。州政府は9日、ストの間に学校で確保する人員(最低限の業務)を定める命令を州の官報に載せた。校長は始業時に学校を開け、子どもを受け入れて学校にとどめることが義務づけられており、学校は閉まらない。ただし授業がふだんどおり行われる保証はない。州のメルセデス・サルサレホ教育相はストを「政治的で、不要で、不当で、無責任だ」と批判し、2025年に結んだ協定を2028年まで守るとしている。12日(月)は祝日で、13日(火)は通常の授業日。子どもを公立校に通わせる家庭は、学校からの連絡を確かめたい。コンセルタダ(公費助成の私立校)や私立校は呼びかけの対象外だ。
2つのストの日程
統一スト委員会(無期限):10月14日(水)0時から。呼びかけ団体はCCOO、UGT、STEM、CGT、CNT、ソリダリダ・オブレラの6労組と、Menos Lectivas(授業時間の削減を求める教員の団体)、Queremos FP、Educación Especial Digna。統一委員会は6月24日の教員集会で無期限ストを決め、9月8日に当局へ正式に通告した。生徒の組合「学生組合(Sindicato de Estudiantes)」も、生徒に教員への連帯を呼びかけている。
CSIF(独自の日程):10月14日(水)、15日(木)、16日(金)は終日スト。その後は朝9〜11時と夕方17〜19時の部分ストを、次の日に行う。それより後の日程はまだ発表されていない。
| 月 | CSIFの部分スト(9〜11時、17〜19時) |
|---|---|
| 10月 | 20日(火)、22日(木)、26日(月)、30日(金) |
| 11月 | 3日(火)、5日(木)、11日(水)、13日(金)、16日(月)、20日(金)、24日(火)、26日(木)、30日(月) |
| 12月 | 1日(火)、10日(木)、11日(金)、16日(水)、18日(金) |
CSIFは14日12時、アルカラ通り32番の州教育局の前で集会を開くと報じられている。教員には、遠足や校外学習、学校の行事など、報酬の出ない仕事を引き受けないよう呼びかけている。14〜16日は2つのストが重なり、影響が最も大きくなりそうだ。
学校は開く:州が9日に最低限の業務を決定
州政府は9日、10月14日からのストに向けた命令(Orden 4252/2026、7日付)を州の官報(BOCM)に載せ、同じ日に効力が生じた。統一委員会の無期限ストとCSIFのストの両方が対象で、大学を除くすべての公立の学校・教育施設に、ストが行われる日と時間帯に適用される。
命令は、校長が始業時に学校を開け、校長と教務主任が学校にとどまって子どもをきちんと受け入れ、学校にとどめることを保障すると定めた。残す人員は次のとおり。
| 学校・施設 | 最低限の人員 |
|---|---|
| すべての学校 | 校長と教務主任(いなければ事務長) |
| 幼児教育(3〜6歳)・小学校 | 上記に加え、児童50人につき教員1人 |
| 中学(ESO)・基礎FP | さらに生徒90人につき教員1人 |
| 特別な支援が必要な子どもを受け入れる通常校 | さらにその子ども25人につき1人 |
| 特別支援学校 | 校長・教務主任と、児童生徒15人につき1人 |
| 州直営の保育施設、小学校内の0〜3歳クラスなど | 1歳未満12人、2歳未満18人、3歳未満24人につき1人 |
高校課程(バチジェラト)と中級・上級のFPには教員数の基準がなく、校長と教務主任だけが残る。9月のストや、2024年・2025年の教員ストのときと同じ基準だ。命令によると、州は9月28日に統一委員会と、29日にCSIFと最低限の業務について協議したが、合意できなかった。
命令が出る前、サルサレホ教育相は州の案を「受け入れられる」内容だとし、スト権は憲法上の権利だが、教育を受ける権利が「何よりも優先されなければならない」と述べていた。統一委員会は案を「スト権という基本的な権利を不釣り合いに制限するおそれがある」として拒み、命令が出されれば裁判所に緊急の差し止めを申し立てるとしてきた。CSIFも「最低限の業務が最大限の業務になってはならない」と反発している。9日朝の時点で、申し立ては報じられていない。
給食やスクールバスについて、命令は何も定めていない。運営する職員や規則が教員とは別のことも多く、学校からの個別の連絡を確かめるのが確実だ。
要求は授業時間の削減と月600ユーロ
統一委員会の要求の柱は、週の授業時間の上限を中学・高校とFPで17コマ、小学校で22コマにすることと、州独自の手当を増やして月600ユーロ賃上げすることだ。ほかに、学級の人数を減らすこと、特別な支援が必要な子どものための人員を増やすこと、事務作業の負担を減らすこと、校舎の空調の整備やアスベストの除去などを求めている。CSIFは、マドリードで働く教員全員への「首都手当」などを求めている。
組合側は、2011年に「一時的」とされた授業時間の増加などの削減が今も元に戻っていないと訴える。組合側によると、2022〜23年度以降、1〜3日のストを9回重ねてきたが、今回は期限を決めない無期限ストに踏み込んだ。授業時間の上限や学級の人数を全国で引き下げる国の法案もあったが、10月5日に決まった議会解散(6日に発効)で廃案になった(総選挙の記事)。
州政府は「協定を守っている」
マドリード州のサルサレホ教育・科学・大学相は、教育部門の労使協定を2025年に結んでおり、2028年の期限まで厳格に守っていると主張する。ストについては「政治的で、不要で、不当で、無責任だ」と批判し、CCOOとUGTは選挙まで1年という時期に「生徒と家庭を人質に取って」マドリードの街に火をつけようとしていると述べた(9月2日の記者会見、EFE通信)。州によると、2026〜27年度の公立校の教員は6万8,899人で、前年度より1,280人増えた。要求をめぐる統一委員会との正式な交渉の場は開かれていない。
0〜3歳の保育施設
今回のストの中心は3歳以上の学校だが、州の命令は州直営の保育施設や小学校内の0〜3歳クラスにも最低限の人員を定めており、影響が出る可能性がある。また、州が民間に運営を委ねている保育施設では、保育士が4月7日から別の無期限ストを続けている。
日本の読者への解説
日本では、公立学校の教員は地方公務員で、法律でストが禁じられている。スペインでは憲法が公務員を含む働く人にスト権を認めており、教員のストは珍しくない。その代わり、行政が最低限の業務を定め、学校が丸ごと閉まることは避けられる。今回の命令でも、学校は子どもを受け入れて預かることになっているが、授業がふだんどおり行われる保証はない。
マドリードに住んで子どもを公立校に通わせている家庭は、14日の前に学校からの通知(アプリやメール)を確かめ、給食とスクールバスの扱い、行事や遠足の変更がないかを確認しておきたい。14〜16日は2つのストが重なるので、在宅勤務ができるなら調整しておくと安心だ。日本人学校(在外教育施設)や私立校、コンセルタダは公立校ではないため、今回の呼びかけの対象にはなっていない。
11月11日(水)には、住宅と賃金を掲げた全国のゼネストも予定されている(ゼネストの記事)。CSIFはゼネストに加わらないが、教員としての部分ストを同じ11日にも予定している。組合が裁判所に申し立てた場合や、命令の扱いが変わった場合は、当サイトで追記する。













