スペインのサンチェス政権は、先週金曜日に下院で否決された住宅関連の政令2本を、内容の根幹に触れない「技術的」な修正を加えた上で、再び閣議決定する意向を固めました。この政令は、社会的弱者の立ち退きを防ぐ措置などを含んでおり、即時発効を目指しています。11月29日に前倒し総選挙が発表されたことを受け、サンチェス首相は住宅問題を来る選挙戦の主要な争点とする構えです。
議会解散と常任委員会という仕組み
議会が選挙のために解散されると、立法機能は「常任委員会(Diputación Permanente)」に引き継がれます。この委員会は本会議の議席数に比例して構成されますが、議席の絶対数が少ないため、本会議で決定票を握ったカタルーニャ独立派のジュンツ(Junts)の支持がなくても、政令の可決が可能になるという計算上の変化が生じます。本会議では国民党(PP)、Vox、ジュンツの反対で否決されましたが、常任委員会では他の左派・地域政党の支持を得て過半数を確保できる見通しです。
鍵を握るバスク民族主義党(PNV)
政令の可決には、バスク民族主義党(PNV)の賛成が鍵となります。しかし、PNVの態度は2本の政令で分かれています。立ち退き猶予などを含む包括的な1本目の政令については、前回同様に賛成する見込みです。これにより与党側は35票を確保し、反対側の34票を上回ることができます。一方で、賃貸契約の自動更新を定めた2本目の政令にはPNVも反対しており、こちらの可決は難しいと見られています。PNVは政府に対し、脆弱層の保護と「小規模家主」の権利保護の両立を求めています。
日本の読者への解説
少数与党であるサンチェス政権が、議会の構成が異なる常任委員会という仕組みを利用して法案成立を図る手法は、スペインの多党制と不安定な政権運営を象徴しています。これは、安定多数を前提とすることが多い日本の政治とは対照的です。また、国民の関心が高い住宅問題を総選挙の直前にあえて採決にかけ、対立軸を明確にして支持を固めようとする戦略は、選挙を控えた政権が重要法案の扱いで駆け引きを行う日本の「国会対策」とも通じる点があります。













