イタリアは9月30日、スペインから到着する航空便と船の旅行者を対象とした一時的な国境検査を、さらに15日間延長した。El Paísなどが同日夜に報じた。反対方向のイタリア発・スペイン着についても、スペインの官報では10月7日24時までの管理が定められている。シェンゲン圏内でも書類確認があり得るが、両国間の旅行を禁止する措置ではない。日本人旅行者も往路と復路を分け、出発直前に各国の最新案内を確認する必要がある。

PR · VPN
日本のサービスをスペインから、スペインの配信を日本から
NordVPN で接続地を切り替え。動画配信・銀行アクセス・カフェWi-Fiの暗号化まで、海外と日本の間で暮らす人の定番。
NordVPN を見る →

「イタリアからスペインへ」は10月7日24時まで

スペイン内務省の省令INT/977/2026が延長したのは、イタリアからの到着者に関するスペイン側の空路・海路の管理だ。たとえば、イタリアの空港からスペインへ飛ぶ場合や、両国を結ぶ旅客船でスペインへ到着する場合が、対象となる移動の例になる。

両国間には陸上の国境はなく、この省令も陸路の管理を定めるものではない。フランス経由の鉄道旅行や、日本からスペインへの直行便を、この延長措置の対象とひとまとめにするのは不正確だ。ただし、それらの移動に別の国境管理や入国要件がないという意味ではない。

官報によれば、当初のスペイン側措置は8月8日から9月7日までだった。その後、9月22日まで延長され、今回はさらに10月7日まで続ける。根拠として挙げられているのは、措置を導入した際の公共の秩序と国内の安全に関する事情が続いていることだ。

導入の順序を見ると、先に管理を始めたのはイタリアで、8月1日からスペイン発の移動を対象とした。背景には、7月末に北アフリカのスペイン自治都市セウタで起きた移民の大規模な流入がある。スペイン側の導入はその後の8月8日だった。当時の報道は、撤回を求めたスペインと、管理継続を主張したイタリアの応酬を伝えている。省令上の安全保障の説明だけでなく、両国間の対立という経緯もある措置だ。

期限が来れば、そのまま自動更新される仕組みではない。省令は、期間の終了により管理を解除する一方、延長するには必要性や制限の程度が妥当かを改めて評価し、理由を示した新しい決定が必要だと定めている。また、導入の理由となった脅威がなくなった場合や、より制限の小さい措置で対応できる場合は、期限前でも解除するとしている。10月8日以降の扱いも含め、旅行直前の確認が必要だ。

反対方向の「スペインからイタリアへ」は別の措置

9月30日夜のEl PaísとCadena SERは、イタリアがスペイン発の旅行者への管理をさらに15日間延長したと報じた。Cadena SERによると、内務省はセウタの状況と、既に確認されていた問題が続いていることを理由としている。イタリアが8月1日に導入して以来、今回で3度目の延長となる。

一方、同日夜に確認した欧州委員会の一覧には、イタリア側の従来の期間である9月16日から10月1日までという表示が残っていた。この一覧の旧期限だけで「10月2日から検査がなくなる」と判断してはいけない。今回の延長について、本稿では終了日の時刻を独自に計算せず、15日間の再延長という発表内容を伝える。搭乗日に適用される期間は、更新後の政府の通知や運航会社の案内で確認したい。

この違いは、往復旅行で特に重要になる。スペインからイタリアへ向かう日はイタリア側の情報を、イタリアからスペインへ戻る日はスペイン側の情報を確認する必要がある。「スペイン・イタリア間は10月7日まで」とだけ覚えると、逆方向の期限を取り違える。

理由説明の出典も分けて読む必要がある。欧州委員会の一覧に掲載されたイタリア側の通知は、セウタでの出来事と、それに伴うシェンゲン圏内の二次的な移動のリスクを挙げている。一方、イタリア内務省の9月15日発表を引用した報道では、国内の治安上のリスクと、テロリスト流入の可能性が理由として示された。これらは当局が措置を説明するために挙げた懸念であり、一般の旅行者に危険があると断定するものではない。

国境管理を、すべての旅行者の入国を拒む国境閉鎖と同じ意味で使うべきではない。欧州委員会も、域内国境管理の再導入を、深刻な脅威に対応する例外的な措置として扱っている。確認した一覧上の期限から、翌日には必ず通常の運用に戻ると判断するのも早い。新しい延長決定や現場の案内を確認したい。

PR · eSIM
スペインの通信、出発前に解決
Airalo のeSIMならSIM差し替え不要、QR読み込みだけ。読者限定「SPAINPRESS」で新規15%オフ/全員「SPAINPRESS10」で10%オフ。
Airalo を見る →

日本人旅行者が準備しておきたいこと

日本などEU外の国の旅券で旅行する場合、シェンゲン圏内だからパスポートが不要になるわけではない。EUの旅行案内は、EU外の国民が域内を訪問・移動する際には有効な旅券が必要で、事情に応じて査証も必要になると説明している。

旅券はすぐ取り出せる手荷物に入れ、スペインなどの滞在許可を根拠に旅行する人は、その許可を示す書類も確認しておきたい。これは一律の追加書類が今回新設されたという意味ではなく、自分の渡航・滞在資格を説明できる状態で移動するための準備だ。個別の在留資格や更新手続中の渡航条件は、担当当局や領事機関に確認する必要がある。

また、空港や港で必要になる時間は、便、施設、混雑、実際の確認方法によって異なる。本稿で一律に「通常より何時間前」と決めることはできない。利用する航空会社・船会社の案内を確認し、短すぎる乗り継ぎや到着直後の予定には余裕を持たせたい。

この措置は、シェンゲン圏の外側の国境で出入域を記録するEESとは別のものだ。日本から欧州に入る際の手続きと、その後にイタリアからスペインへ移る際の一時的な書類確認は、目的も法的な仕組みも異なる。

日本の読者への解説

欧州周遊旅行では、国をまたいでも出入国審査のような手続きをほとんど意識しないことがある。その経験から、次の旅行も同じだと考えやすい。しかし、シェンゲン圏内の通常の移動ルールと、例外的に再導入される国境管理は併存している。今回の話は、欧州全体で自由な移動がなくなったということではなく、特定の経路に、期限付きの例外が置かれているということだ。

旅行情報を読む際には「どの国が実施するか」「どこからの到着が対象か」「空路か海路か」「何日までか」の四点を確認すると、誤解を避けやすい。国名が二つ並んだ見出しだけでは、往路と復路の両方に同じ条件が当てはまるとは限らない。

もう一つ重要なのは、延長決定の日付と、自分の旅行日を分けることだ。今回のスペインの決定は9月16日付で、官報掲載は19日、実際の延長期間は23日から始まった。「最新の記事を読んだ」というだけでなく、その記事が扱う期間に自分の搭乗日が入っているかを確認したい。

本稿は9月30日夜の続報を反映している。今回のように延長発表と一覧の更新が同時ではない場合もあるため、旧期限の表示だけで旅行条件を判断しないことが重要だ。書類を準備したうえで、実施国の政府、欧州委員会、利用する運航会社の新しい案内を照合するのが現実的な対応になる。

この記事をシェア:X (Twitter)WhatsAppLINE