スペインの最高裁判所は、2017年のカタルーニャ独立住民投票を巡り国外に滞在していたカルレス・プッチダモン前州首相に対する国内逮捕状を取り下げました。これは、憲法裁判所が先に、元閣僚ドロルス・バッサ氏の申し立てを認め、独立派指導者らに適用される恩赦法が公金不正流用罪も対象に含むとの判断を下したことを受けたものです。リャレナ判事が下したこの決定により、プッチダモン氏と他の元閣僚2名(トニ・コミン氏、リュイス・プッチ氏)は、逮捕の恐れなくスペインに帰国できる道が開かれました。
背景:恩赦法をめぐる司法判断の対立
サンチェス政権が成立させた恩赦法をめぐっては、司法機関、特に最高裁がその適用に抵抗を示してきました。最高裁は、独立運動の資金調達に使われた公金不正流用罪は、恩赦の対象外であるとの見解を維持していました。しかし、進歩派が多数を占める憲法裁判所が、この公金不正流用罪も恩赦の範囲内であると判断。これにより、最高裁は逮捕状の根拠を失い、今回の取り下げに至りました。ただし、リャレナ判事は、これは暫定的な措置であり、憲法裁の判決文を精査した上で最終判断を下すとしています。
今後の焦点と政治的影響
逮捕状の取り下げは、プッチダモン氏の約9年にわたる「亡命生活」の終わりを意味します。同氏はこれまでドイツやイタリアで身柄を拘束された経緯がありますが、スペインへの送還は実現しませんでした。同氏の帰国は、カタルーニャ州の政治だけでなく、サンチェス首相の少数与党政権を閣外から支える独立派政党の動向にも大きな影響を与えることは確実です。そのサンチェス首相は今回の決定を歓迎し、「カタルーニャ社会の共存に役立つ」と述べています。恩赦の最終的な適用が確定すれば、同氏の政治活動の権利も完全に回復することになります。
日本の読者への解説
今回の動きは、スペインにおける「司法の政治化」と「政治の司法化」という根深い問題を象徴しています。政府・議会が制定した恩赦法に対し、司法が解釈を巡って抵抗し、さらに上級の憲法裁判所がそれを覆すという構図です。中央政府と地方の対立が、司法を巻き込んで長期間にわたり国を二分する事態は、日本では想像しにくいかもしれません。一人の政治家の帰国が、国の政治バランスを左右する可能性がある点に、スペイン政治の複雑さが表れています。













