スペインの「孫の法」でスペイン国籍を得た人が、11月29日(日)の総選挙で投票できるかどうかをめぐり、最高裁の判断が迫っている。最高裁は9月、この規定で国籍を得て在外選挙人名簿に登録された人について、登録の選挙上の効力を仮に止めた(亡命者の子や孫であることを証明できる人は除く)。これに対し、政府を代理する国の法務官は期限の10月8日(木)までに出した書面で、17万件近くを1件ずつ手作業で確かめる必要があり、名簿の閲覧が始まる12日(月)までの見直しは「事実上不可能」だとして、仮処分の解除を求めた。検察も9日(金)、解除を求めたと報じられた。一方、政党Voxは仮処分の維持を求め、政党イウスティティア・エウロパは総選挙の一時停止まで求めている。最高裁の判断は、10日朝の時点でまだ報じられておらず、週末のうちに判断する見通しだと報じられている。
9月の仮処分と、8月1日の名簿
最高裁の行政訴訟部(第3法廷)は9月、Voxとイウスティティア・エウロパの申し立てを受け、2022年の民主的記憶法の規定で、政府の2022年10月の通達の基準により国籍を得た人について、在外選挙人名簿への登録の選挙上の効力と、新たな登録を止めた。この通達は、1936年7月18日から1955年12月31日までに国外へ出た人については、亡命していたと推定する基準を設けていた。国籍そのものは取り消していない。政治的な理由などで国外へ逃れたスペイン人の子や孫であることを、領事館の証明で示せる人は対象から外した。理由として、在外選挙人名簿の急増と、選挙の客観性と透明性が損なわれるおそれを挙げた。
ただ、総選挙に使われる選挙人名簿は8月1日に締められており、仮処分より前に登録された対象者も名簿に入っている。名簿の閲覧と異議の申し立ては12日から19日までで、国外に住む人は領事館で行う。総選挙が前倒しされたことで、最高裁は10月6日(火)、当事者に48時間以内に意見を出すよう求めていた。
政府「経路を自動で見分けられない」
国の法務官は、領事館の登録や在外選挙人名簿のシステムでは、どの経路で国籍を得たかを自動で見分けられないと説明し、限られた期間では対象者を見分けられないと主張した。仮処分を続ければ、選挙権を実際に奪うことになるとも主張し、9月の仮処分に対して出していた再審査の請求を認めるよう求めた。検察は、総選挙の前倒しで9月の判断の前提が変わったとし、少なくとも今回の選挙の間は名簿の見直しをしないよう求めた。
Voxは、国籍を与えた行政が今になって審査の方法が分からないとは言えないとして、仮処分の維持と、国の法務官の再審査の請求を退けるよう求め、予備的に停止の対象を広げることも求めた。イウスティティア・エウロパは、総選挙を必要な最小限の期間止めるか、それが行き過ぎと判断されるなら、8月1日の名簿の上で対象者にシステム上の印を付けるよう求めた。
国立統計院(INE)によると、今回の総選挙の有権者は約3,873万人で、このうち国外に住む人は約277万人。
日本の読者への解説
「孫の法」は、2022年の民主的記憶法に設けられた規定の通称で、内戦やフランコ独裁の時代に国外へ逃れた人の子や孫などがスペイン国籍を取れるようにした。この規定で国籍を得た人に総選挙での投票を認めるかどうかが、法廷で争われている。最高裁の判断は、在外の有権者の投票の手続きに直接かかわる。













