サグラダ・ファミリアが、バルセロナ最大の祭り「ラ・メルセ」に合わせて9月24日から27日までの4日間、計2万枚の無料入場券を抽選で配る。応募は公式サイトのフォームから、9月20日(日)21時まで。居住地の制限は明記されておらず、旅行者でも応募できる。当選者には20日以降にメールで通知され、見学は各日16時から20時(26日の土曜だけ15時から18時)。生誕のファサード、聖堂内部、典礼の道、博物館、受難のファサード、そしてガウディ没後100年を記念した写真展「共有された夢の力」まで回れる一方、塔への登頂とガイドツアーは含まれない。通常なら基本券26ユーロ、塔付き36ユーロの世界一混む教会に、タダで入れる年に一度の機会だ。ただし当選通知は見学のわずか4日前で、日時の変更もできない。ゼロから旅程を組める話ではなく、「その週にバルセロナにいる人」のための宝くじである。
応募の中身──20日21時締め切り、通知はメール
企画名は「Jornades de Portes Obertes(オープンドア・デイズ)」。サグラダ・ファミリア建設財団が毎年ラ・メルセの時期に開く市民向け開放日で、2026年は9月24日(木)、25日(金)、26日(土)、27日(日)の4日間に設定された。
応募は9月14日10時から20日21時まで、公式サイトと公式SNSに掲示されたオンラインフォームで受け付ける。先着ではなく抽選で、当選者には20日以降に順次メールが届く。さらに見学の24時間前に、入口や持ち物などの実務情報を記したメールが別途送られる仕組みだ。
公式FAQで確認できるルールは次のとおり。
3歳以上は全員チケットが必要。幼児連れでも人数分の当選が要る。
記名式ではなく、家族や友人に譲れる。ただし転売は禁止。
日時の変更は不可。当選した日と時間枠にしか入れない。
塔は含まれない。ガイドツアーもない。音声ガイドは公式アプリで自分のスマホから聴く形式なので、イヤホンとフル充電を持参するよう財団は呼びかけている。
車椅子・ベビーカーは入口Bから。チケットに入口の指定が印字される。
1回の応募で何枚まで申し込めるかは公式ページに明記がないが、FAQには「4枚当選した場合」を想定した設問があり、複数枚の申し込みは可能と読める。
見られるもの──生誕・受難の両ファサードから資材置き場まで
見学ルートは生誕のファサード → 聖堂内部 → 典礼の道 → 博物館 → 受難のファサードという通常入場とほぼ同じ動線に、2026年限定の企画展「共有された夢の力(La fuerza de un sueño compartido)」が加わる。これはガウディ没後100年を記念する「ガウディ・イヤー」プログラムの一環で、着工から現在までの建設史を写真で辿る展示だ。
今年ならではの見どころは、資材置き場に並ぶ「聖母被昇天礼拝堂」の外装を飾る予定の彫刻3体。バルセロナ生まれの聖人サン・ジュゼップ・オリオル像、サン・ロック像、そして礼拝堂のドームを飾る4体の天使のうちの1体が、取り付け前の姿で公開される。完成した建物を眺めるのではなく、「今まさに作られている部分」を足元から見られるのが、この開放日の性格である。
財団は今回の趣旨を「聖堂を市民に近づけ、工事の現在の進捗を示すため」と説明している。ラ・メルセは9月23日(水)から27日(日)までで、中日の24日はバルセロナ市の祝日。最終日27日の22時にはボガテル海岸で恒例の花火音楽ショー「ピロムジカル」がある。開放日を引き当てた人は、祭りの夜と抱き合わせで回れる。
なぜ今年は特別か──没後100年と「世界一高い教会」
2026年6月10日はアントニ・ガウディの没後ちょうど100年にあたり、サグラダ・ファミリアは1年を通じて記念行事を組んでいる。この6月には教皇レオ14世がスペイン訪問の途中でバルセロナに立ち寄り、イエス・キリストの塔を祝別した。高さ172.5メートル、これでサグラダ・ファミリアは世界で最も高い教会となった。
ただし「2026年に完成」という日本でよく流れる言い回しは正確ではない。中央塔の完成と、栄光のファサードや周辺の階段など建物全体の完成は別の話で、その事情は当サイトの「サグラダ・ファミリアは2026年に『完成しない』」で詳しく書いた。今回の開放日で公開される礼拝堂の彫刻は、まさにその「まだ終わっていない部分」だ。
現実的な使い方──旅行者・在住者それぞれ
在住者、あるいは既に9月下旬のバルセロナ滞在が決まっている人には、応募しない理由がない。フォーム入力は数分で終わり、外れても失うものはない。当たれば26ユーロが浮くだけでなく、通常入場では見られない資材置き場の彫刻まで見られる。
これから旅程を組む人は、当選を前提に予定を立てるべきではない。通知が見学の4日前、日時は変更不可、倍率は不明(2万枚に対し応募者数は非公表)。抽選は「保険」と割り切り、本命は通常券の事前予約で押さえておくのが安全だ。特にラ・メルセ期間は市内の宿が埋まりやすく、24日の祝日は店の休みも多い。
なお、通常券には割引の区分がある。公式料金表では基本券26ユーロに対し、シニア21ユーロ、30歳未満と学生は24ユーロ、11歳未満は無料。塔付き36ユーロも同様に区分が設けられている。開放日に外れた場合の代替として押さえておきたい。
バルセロナの観光客との距離感、「観光客は帰れ」の落書きが指す相手が誰なのかについては、「観光客は帰れ」と落書きされた街で、日本人は本当に嫌われているのかにまとめている。無料開放日は、その街が住民向けに聖堂を開く日でもある。
日本の読者への解説
サグラダ・ファミリアの入場券は年間を通じて売り切れが常態で、日本からの旅行者の多くが出発前にオンラインで買う。その聖堂が年に一度、地元の祭りに合わせて2万人分を無料で開放するというのが今回の話だ。日本で言えば、特別拝観が有料の寺院が地元の祭礼の週だけ抽選で無料公開するようなもので、財団の言葉を借りれば「聖堂を市民に近づける」ための行事である。
実務上の要点は3つ。締め切りは9月20日(日)21時(スペイン時間、日本時間では21日午前4時)、応募は公式サイトのフォームから、当選通知はメール。見学は24〜27日の午後で、日時の変更はできない。今週その時期にバルセロナにいることが決まっている人は今すぐ応募し、これから計画する人は通常券を予約したうえで「当たれば儲けもの」として応募する、という二段構えが現実的だ。
ラ・メルセの期間中は市内各所で無料コンサートや巨人人形の行列、人間の塔(カステイ)などが開かれ、街全体が祭りになる。サグラダ・ファミリアの開放日はその一部であって、それ自体を目的に渡航するより、祭りの週に居合わせた人の「おまけ」として楽しむのが、この企画との正しい付き合い方だと思う。













