スペインでは多くの州で9月から10月上旬にかけて、インフルエンザ、新型コロナ、RSウイルスの秋のワクチン接種が始まった。国(保健省)の方針では、インフルエンザは60歳以上、生後6〜59か月の子ども、妊婦、持病のある5〜59歳などが対象で、コロナは70歳以上、施設の入所者、妊婦、持病のある人などが対象。赤ちゃんにはRSウイルスの抗体の注射をする。接種に診断や処方は要らない。日程と対象は州で違い、コロナはカタルーニャ州が60歳以上、マドリード、アンダルシア、バレンシアの各州は70歳以上が対象だ。60歳以上のインフルエンザは、マドリード州が10月5日から受けられ、アンダルシア州は80歳以上が10月7日、70歳以上が10月14日、60歳以上が10月21日からだ。カタルーニャ州は60〜79歳などが10月26日から予約制で、11月16日からは予約なしでも受けられる。予約は州のアプリやウェブ、電話、保健センターでする。マドリード州は公的な保健センターでの接種を無料としている。対象外の人にも接種を広げるとしている州があり、そうした枠がなければ、インフルエンザは医師の処方箋を取って薬局で買うことになる。コロナのワクチンは2024年の時点で薬局では買えなかった。民間の保険だけに入っている人の扱いは州で違い、アンダルシア州はコロナの対象者なら州の会場で受けられるとしている。

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国の方針:誰が対象か

スペインの秋のワクチンは、保健省の公衆衛生委員会が決めた方針をもとに、各州が日程と細かな対象を決める。国の方針はワクチンごとに分かれていて、2026-2027年の主な対象者は次のとおりだ。

  • インフルエンザ: 60歳以上、生後6〜59か月の子ども全員、妊婦(妊娠のどの時期でも。妊娠中に受けなかった場合は産後6か月まで)、持病のある5〜59歳(喫煙者や施設の入所者を含む)、医療・介護の職員、高リスクの人や生後6か月未満の赤ちゃんと暮らす人、保育園などの職員、警察・消防、家禽や豚の農場などで仕事で動物に接する人。
  • 新型コロナ: 70歳以上、高齢者施設などの入所者、妊婦(妊娠中期が望ましい)、免疫が大きく下がる病気や治療(臓器移植、治療中のがん、透析など)や、重い心臓・呼吸器・神経の病気がある生後6か月以上の人、糖尿病などのある12歳以上。医療・介護の職員と、高リスクの人と暮らす人・世話をする人は、希望すれば受けられる。
  • RSウイルス: 2026年4月1日〜2027年3月31日生まれの赤ちゃん全員に、重症化を防ぐ抗体の注射。大人のワクチンは、非常にリスクの高い18歳以上と、施設に入所する60歳以上が対象で、2026-2027年から3シーズンかけて州ごとに導入する。

国の方針では、健康な60代はインフルエンザの対象だが、コロナの対象ではない。ただし州が対象を広げることがあり、カタルーニャ州はコロナも60歳以上が受けられるとしている。接種は公衆衛生上の判断によるもので、診断や処方は要らない。インフルエンザ、コロナ、RSウイルスは同じ日に受けることが勧められている。コロナは前回の接種か感染から3か月以上あける。

今年のインフルエンザのワクチンは、3つの株がすべて入れ替わった。保健省の文書によると、前のシーズンはA型(H3N2)の「サブクレードK」が世界的に急速に広がり、スペインでは推計で約4万6,000人が入院し、約3,400人が亡くなった(今年5月初めまでの推計)。コロナのワクチンは変異株「XFG」に対応したものが中心になる。

4州の日程と予約の方法

日程は州ごとに違い、多くの州で施設の入所者や子どもなどから順に始まった。在住日本人の多い4州の日程は次のとおり(10月13日時点の各州の公式案内による)。

州日程コロナの対象年齢予約の方法
カタルーニャ10月5日: 施設の入所者、在宅医療を受ける人などの高リスクの人、80歳以上、妊婦、生後6か月〜4歳、医療・介護の職員
10月26日: そのほかの対象者(予約制)
11月16日: 一次医療センター(CAP)で予約なしの接種も
60歳以上アプリ「La Meva Salut」、ウェブ citasalut.gencat.cat、かかりつけのCAP
マドリード10月5日: 60歳以上、生後6か月〜7歳
10月13日: 医療職員
10月19日: 妊婦を含むそのほかの対象者
インフルエンザは2027年1月31日まで
70歳以上保健センターへの電話(音声案内で3番)、窓口・セルフ端末、アプリ「Tarjeta Sanitaria Virtual」「Cita Sanitaria」、ウェブ citaprevia.sanidadmadrid.org
アンダルシア10月1日: 生後6〜59か月、持病のある5〜17歳、妊婦、施設の入所者など
10月7日: 80歳以上
10月14日: 70歳以上、持病のある18〜59歳
10月21日: 60歳以上(インフルエンザのみ)
11月11日から毎週水曜: 予約なしの接種日(ワクチンの在庫しだい)
70歳以上ウェブ ClicSalud+、アプリ「Salud Andalucía」、Salud Responde(アプリ、電話955 54 50 60)、保健センター
バレンシア9月28日: 施設、学校など
10月5日: そのほかの対象者
11月中: 一般の人にも広げる
70歳以上(健康な60〜69歳はインフルエンザのみ)今シーズンの方法は州保健省の案内で確認

カタルーニャ州は12月18日までに接種を集中させ、受けそびれた人のためにワクチンを2027年3月末まで用意する。マドリード州では、インフルエンザとコロナを1回の予約でまとめて受けられ、保健センターのほか、州の国際接種センター、イサベル・センダル病院、マドリード市の保健センターなど州内の850か所以上で接種する。州は、公的な保健センターでの接種を無料のサービスとしている。

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子ども、妊婦、赤ちゃん

子どものインフルエンザは、国の方針では生後6〜59か月の全員が対象で、州によって年齢を広げている。マドリード州は今年初めて5〜7歳を加え、生後6か月〜7歳の全員が対象になった。子どもは原則1回で、初めての接種でも同じだ。ただし、持病のある生後6か月〜8歳の子と、妊娠32週未満で生まれた生後6〜24か月の子は、初めての年は4週以上あけて2回受ける。鼻に噴霧するタイプのワクチンも使われ、マドリード州は2〜7歳向けに13万回分を用意した。カタルーニャ州は主に2〜4歳に使い、アンダルシア州は3〜4歳に主に学校で接種する。バレンシア州は2021年以降に生まれた生後6か月以上の子が対象で、学校でも接種する。医療専門紙レダクシオン・メディカの州別一覧によると、アラゴン、バレアレス、カスティーリャ・イ・レオン、ガリシアの各州などは11歳まで、アストゥリアス州は13歳まで対象を広げた。鼻に噴霧するワクチンは、2歳未満や免疫の弱い人には使えない。

妊婦は、インフルエンザを妊娠のどの時期でも受けられ、妊娠中に受けなかった場合は産後6か月まで受けられる。コロナも妊婦全員が対象で、妊娠中期が望ましいとされる。妊娠中の手当や休業の制度は妊娠・出産ガイドにまとめている。

RSウイルスは赤ちゃんの細気管支炎を起こすウイルスで、生後6か月未満の赤ちゃんには抗体の注射をする。シーズン中に生まれた子は、原則として出産した病院で退院前に受ける。それより前に生まれた子は、カタルーニャ州では2026年4〜8月生まれが9月1日からCAPで、マドリード州では4月1日〜9月30日生まれが、10月から11月第1週までに州内9か所で自分で予約して受ける。母親が妊娠中にRSウイルスのワクチンを受けていても、赤ちゃんへの注射が勧められている。早産だった子は1歳になるまで、心臓などに重い病気のある子は2歳になるまで、次のシーズンにも受けることがある。大人のRSウイルスのワクチンは州で扱いが違い、マドリード州は2026年1月から、80歳以上、施設に入所する60歳以上、非常にリスクの高い18歳以上に、年間を通じて接種している。

対象外の人、医療カードがない人は

公的な接種の対象でない人も、州によっては受けられる。マドリード州はインフルエンザについて、対象者のあとに希望する一般の人にも広げるとしている(時期は示していない)。バレンシア州は11月中に一般の人にも接種を広げるとしているが、どのワクチンかは示していない。そうした枠がない州や時期にインフルエンザのワクチンを受けたい場合は、医師に相談することになる。スペインの医薬品庁(AEMPS)のデータベースでは、インフルエンザとコロナのワクチンはどれも処方箋が必要な医薬品だ。消費者団体OCUは2024年、対象外の人は医師に相談し、処方箋を持って薬局で買うよう案内していて、価格は種類によって14.83〜49.95ユーロだった。OCUは、買ったワクチンは打ってもらうまで冷蔵庫(2〜8度)で保管するよう勧めている。今シーズンの価格と、どこで打ってもらうかは、医師や薬局で確かめたい。

コロナのワクチンについて、アンダルシア州の保健当局は、対象者以外への接種は「正当化されない」としたうえで、希望する人は個別に評価して、キャンペーンの外で接種しうるとしている。カタルーニャ州も、インフルエンザとコロナについて同じ趣旨を示している。OCUは2024年の時点で、コロナのワクチンは薬局では買えないと書いていた。その後、薬局で一般に売られるようになったという公式の情報は見当たらない。

公的医療の医療カードを持たない人や、民間の保険だけに入っている人の扱いは州で違う。アンダルシア州は、民間の保険だけに入っている人もコロナの対象者なら州の保健サービスの会場で受けられ、一般の利用者と同じ窓口で予約できるとしている(持病で対象になる人は医師の診断書が要る)。州の利用者データベース(BDU)に登録されていることが前提で、登録のない外国人の手続きも州が案内している。インフルエンザは、民間の保険の加入者は保険会社が指定する機関で受けるよう案内している。ほかの3州の今シーズンの公式案内には、はっきりとは書かれていない。マドリード州は、公立・私立の病院や、認可を受けた私立の医療機関でも接種できると案内しているが、費用には触れていない。民間の保険に入っている人は保険会社に、医療カードの手続き中の人などは住んでいる地域の保健センターに確かめたい。公的医療への加入や医療カードの取り方は公的医療ガイドにまとめている。

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日本との違い

日本では、65歳以上と、一定の持病がある60〜64歳が、インフルエンザとコロナの定期接種の対象で、コロナについて厚生労働省は費用を「原則有料」としている。スペインでは、インフルエンザは60歳以上、コロナは国の方針では70歳以上が対象で、州によって違う。スペインの公的な接種は、州が年齢などのグループごとに開始日を決め、本人が州のアプリやウェブ、電話、保健センターで予約する形が多い。

参考リンク(一次情報)

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