スペインの主要25都市で、観光客向けの貸し家(民泊)の受け入れ能力が、この夏も減り続けた。大手観光企業でつくる業界団体エクセルトゥール(Exceltur)が10月6日に発表した報告によると、2026年6〜8月の観光用の貸し家のベッド数(床数)は35万2,180床で、前年同期より3万2,852床、8.3%少なかった。ただ、1〜5月の11.3%減と比べると、減り方は鈍った。エクセルトゥールは、観光用の貸し家も対象とする国の短期賃貸の統一登録制度が5月に最高裁判所の判決で無効になったあと、床数の減り方が勢いを失ったとしている。それでも減少が続いているのは、住宅不足を受けて自治体が住宅としての使い方を優先しているためだという。
マドリードは約6,500床減
都市別では、首都マドリードが7.8%減で、約6,500床減った。1〜5月は10.4%減だった。エクセルトゥールの報告書によると、バルセロナは10.6%減、バレンシアは10.0%減、アリカンテは11.3%減で、マラガは2.6%減、セビージャは0.6%減だった。同じ報告書では、これら6都市に、25都市の床の4分の3近くが集まっている。数字は、民泊の予約サイトに掲載された物件のデータを集めるエアDNA(AirDNA)の情報を床数に換算したもので、自治体の許可件数ではない。
登録制度の無効で勢いが鈍る
報告書によると、2025年7月に国の賃貸のデジタル窓口が動き出し、州や自治体の取り組みとあわせて、規則に合わない物件の締め出しが進んでいた。最高裁は2026年5月19日、短期賃貸の統一登録制度について、国には制度をつくる権限がないとして、制度を定めた部分を無効とする判決を出した。バレンシア州政府の訴えを一部認めたもので、窓口の部分や、予約サイトにデータの提出を求める部分は無効とされなかった。エクセルトゥールは、この判決のあと減り方が鈍ったとみている。
エクセルトゥールは、州や自治体の対策は引き続き重要だとしたうえで、国として共通の枠組みをつくるよう求めている。11月29日の総選挙に向けた提言では、観光用の貸し家を付加価値税の対象となる事業として扱い、数か月単位で貸す期間限定の賃貸と区別する法律の枠組みを求めた。
日本の読者への解説
スペインの大都市では、観光用の貸し家の広がりが家賃の上昇や住宅不足の一因だとする声が強く、各地で規制が強まっている。エクセルトゥールはホテルなどの大手観光企業が加わる団体で、観光用の貸し家の急増を批判し、違法な物件の取り締まりの強化を求めてきた。旅行者にとっては、都市部で民泊の選択肢が少しずつ減っていることになる。













