マドリード州の元首相イグナシオ・ゴンサレス氏が、10月13日(火)に始まる全国管区裁判所の裁判で、初めて被告席に座る。大型の汚職事件「レソ事件」のうち、州の水道公社カナル・デ・イサベル2世(運河公社)の施設に造られたゴルフ場の工事と、スポーツ施設の運営契約をめぐる部分の裁判だ。ゴンサレス氏は、兄弟と義理の兄弟が出資していた会社に仕事を回させた疑いをもたれている。被告は5人で、反汚職検察は全員に禁錮6年を求めている。この会社が公金から得た利益は少なくとも50万4,780ユーロとされる。ゴンサレス氏はレソ事件で2017年4月に逮捕され、6か月余り勾留された。捜査が始まってから約10年がたつ。
計画の変更と親族の会社
起訴の内容によると、運河公社は2003年に施設の工事を発注し、ACSの建設会社(のちのドラガドス)が請け負った。2004年、当時州の副首相だったゴンサレス氏と、運河公社の総支配人だったイルデフォンソ・デ・ミゲル氏が、親族に利益を与えるために、計画を変える手続きを進めた疑いがある。変更は大幅で、本来は改めて入札にかけるべきだったとされる。
変更は2006年7月に運河公社の理事会で承認され、工事は入札なしでドラガドスに直接発注された。その条件が、ゴンサレス氏の兄弟と義理の兄弟が出資していたTCT(テクノコンクレット)への下請けの発注だったとされる。TCTには工事を行う技術力がなかったという。2人は名義人を立てて出資を隠し、ゴンサレス氏との親族関係を伏せていた。
被告5人に禁錮6年を求刑
被告は、ゴンサレス氏、デ・ミゲル氏、TCTの共同出資者3人(うち2人がゴンサレス氏の兄弟と義理の兄弟)の5人。反汚職検察は5人全員に禁錮6年を求めている。公判を開く決定は2021年8月、マヌエル・ガルシア=カステジョン判事が出した。2025年12月の時点では、公判は2027年9月に開く予定とされていたが、その後、日程が前倒しされた。
逮捕から9年半
ゴンサレス氏は2017年4月に逮捕され、保釈を認めない勾留が命じられて、マドリード近郊のソト・デル・レアル刑務所に入った。同年11月、保釈金40万ユーロを納めて釈放された。
レソ事件では9月7日に、コロンビアの企業イナサの買収をめぐる部分の裁判が始まった。ゴンサレス氏はこの部分の被告ではなく、被告席に座るのは今回が初めてになる。検察は、ブラジルの企業エミサン(Emissao)の買収をめぐる部分と、モストレス〜ナバルカルネロ間の鉄道の発注をめぐる部分でも、ゴンサレス氏にそれぞれ禁錮8年と4年を求めている。エミサン部分の裁判は2027年1月に予定されている。
日本の読者への解説
レソ事件は、マドリード州の運河公社を中心とする汚職の疑いを、いくつもの部分に分けて捜査してきた大型の事件だ。今回の裁判は、そのうちゴンサレス氏が被告となる最初の裁判になる。判決が出るまで、被告は無罪と推定される。













