スペインが再生可能エネルギーの助成を削った問題で、米国の首都ワシントンの連邦地裁が、外国の投資家4者に対する賠償を払うようスペインに命じる判決を出したと、10月6〜7日に報じられた。国際投資仲裁でスペインに賠償が命じられた件の執行を認めたもので、4件の合計は費用と利息を含めて9,810万ユーロを超える。米国でスペインに支払いを命じた判決はこれで13件、合計約9億3,500万ユーロになった。スペインは欧州連合(EU)のルールを理由に、ほぼすべての支払いを拒んでいる。日本企業ではユーラスエナジーの件でも9月に米国で同じ種類の判決が出ており、日揮の件はスペインが支払った唯一の例になっている。
4件の判決、スペインの申し立てを退ける
判決を出したのは連邦地裁のランドルフ・モス判事。投資家は、マルタ、スイス、ドイツ、ルクセンブルクに拠点を置くOperaFund、Schwab、Steag、Renergyの4者で、スペインの太陽光や太陽熱などの再生可能エネルギーの発電事業に投資していた。いずれも、世界銀行グループの投資紛争解決国際センター(ICSID)の仲裁で賠償を認められていた。モス判事は、訴えの棄却や手続きの停止を求めたスペインの申し立てを退け、仲裁で認められた額の全額の執行を認めた。それまでの9件の合計は8億3,660万ユーロだった。
米最高裁もスペインの上告を受理せず
米最高裁は2026年6月29日、仲裁の執行をめぐるスペインの上告を受理しなかった。英国の最高裁も3月4日、ICSIDの仲裁判断の登録に対して国は免除を主張できないと判断し、シンガポールの高等裁判所も2月24日、スペインの申し立てを退けた。
報道によると、スペインが払っていない仲裁判断は27件、約17億5,000万ユーロにのぼる。欧州委員会は2025年3月、ルクセンブルクのファンドAntinへの仲裁判断(約1億100万ユーロ)の支払いは違法な国家補助にあたると判断し、スペインに支払いを禁じた。再エネの仲裁で欧州委員会が出した初めての判断で、スペイン政府はこれを外国の裁判所でも主張している。
ユーラスと日揮
トヨタ系のユーラスエナジーは、2022年のICSIDの仲裁判断で1億620万ユーロの賠償を認められた。この件では9月24日、同じモス判事が、総額1億1,010万ユーロを超える執行を認める判決を出した。ただ、この債権はすでに投資会社ブラスケットに移っており、ブラスケットはオランダで、ユトレヒトにあるスペインの文化機関セルバンテス文化センターの建物を4月に差し押さえた。その後の扱いをめぐっては、オランダで争いが続いている。
日揮は2021年の仲裁判断で、アンダルシアの太陽熱発電をめぐり2,350万ユーロと利息の支払いを認められた。その後、権利を引き継いだブラスケットの申し立てで、2024年に米国で執行が認められた(この件は報道が数える米国の13件には入っていない)。スペインはこの賠償をブラスケットに支払ったが、欧州委員会は2026年8月、この支払いが違法な国家補助にあたるかどうかの詳しい調査を始めた。
日本の読者への解説
スペインは2000年代に太陽光や風力の発電に手厚い助成を約束して外国の投資を集めたが、2010年代前半に助成を大きく削った。投資家は国際仲裁に訴えて多くの件で勝ったが、スペインはEUのルールを盾に支払いを拒み、各国の裁判所で執行をめぐる争いが続いている。日本企業もこの争いの当事者になっている。













