スペインの中央銀行にあたるスペイン銀行は10月9日、最新の経済見通しを公表し、2026年の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しを6月の2.3%から2.6%に、2027年を1.7%から2.2%に引き上げた。2026年は個人消費や輸出が予想より強く、2027年は住宅を中心に投資が増えるためだ。一方、中東での戦争によるエネルギー高を受け、EU基準の消費者物価の上昇率の見通しも、2026年は3.6%から3.9%に、2027年は2.6%から3.7%に引き上げた。9月の物価上昇率はEU基準で5.0%(速報値)に達している。失業率は2026年に10.0%、2027年に9.7%に下がる見通し。見通しは11月29日の総選挙が決まる前に作られ、選挙の影響は織り込んでいない。
消費と輸出が上振れ
見通しを説明したスペイン銀行のダビッド・ロペス・サリード経済総局長の資料によると、個人消費は2026年に3.0%伸びる。雇用と人口の増加が支えだ。輸出も、世界経済の底堅さとサービスの好調を理由に上方修正された。2027年の引き上げは、住宅を中心とした投資の増加による。欧州中央銀行(ECB)の9月の見通しでは、ユーロ圏全体の2026年の成長率は0.9%で、スペインはそれを大きく上回る。経済協力開発機構(OECD)も9月、スペインの2026年の成長率を2.6%と見込んだ。
物価はEU基準で9月に5.0%
スペイン銀行の資料によると、EU基準の9月の物価のうち、エネルギーは前年同月比22.0%上がった。エネルギーと食品を除くコアの上昇率も、2026年は3.4%、2027年は3.5%と見込む。政府のエネルギー対策は2026年の物価上昇率を0.2ポイント押し下げるが、対策が終わると同じだけ押し上げる。物価上昇率は年末にかけて5%前後で推移する見通しで、2027年初めにエネルギーの減税や公共交通の割引が終わると、物価が押し上げられる。2027年の見通しを大きく上げたのは、エネルギー高が長引くと見ているためだ。
財政赤字の見通しは悪化
財政赤字の見通しは、2026年がGDP比2.6%と6月の2.4%から悪化した。エネルギー対策の費用がかさむためで、2027年は2.2%に縮むとみる。スペイン銀行は、政府の債務をGDP比で2026年に98.5%、2027年に96.2%と見込む。
リスクは中東と通商
スペイン銀行は、中東情勢と米国の通商政策で世界経済の不確実性が大きいとする。中東の緊張が再び高まった場合の試算では、2027年の成長率が0.6ポイント下がり、物価上昇率は0.9ポイント上がる。
日本の読者への解説
スペイン経済は、移民による人口増や観光に支えられ、ユーロ圏の平均を大きく上回る成長を続けている。ただ、物価の上昇率はEU基準で5%に達している。住宅の政令2本が10月2日に下院で否決されたことをきっかけに、首相は10月5日に議会の解散を表明し、11月29日に総選挙が行われる。













