ガウディ没後100年の音楽シリーズ、いよいよ最終夜へ
2026年、建築家アントニ・ガウディの没後100年を記念してバルセロナで開かれてきた連続コンサート「Serie Japonesa(日本シリーズ)」が、5月29日に最終公演を迎える。日本とカタルーニャ、東洋と西洋の音楽的な対話をテーマに、異なる楽器で3夜にわたって構成されてきた企画の、締めくくりとなる一夜だ。
主催者によれば、5月2日のピアノ公演(Hisako Hiseki/ヒセキ・ヒサコ)、5月15日のオルガン公演(Izumi Kando/カンドウ・イズミ)は、いずれも好評のうちに終了したという。最終夜の主役は、ヴィオラ奏者のアレハンドロ(Alejandro Garrido Porras)。「忘れられない一夜になるはず。そして最後にはサプライズも用意している」と告知されている。
ヴィオラ一挺で描く、聖と瞑想のプログラム
最終公演は5月29日21時30分の開演を予定している。プログラムの軸となるのは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの無伴奏組曲だ。そこにヒンデミット、レーガー、テレマンといったドイツ語圏の作曲家の作品、さらに日本人・カタルーニャ双方の作曲家による小品が織り込まれる。伝統と現代、宗教的な響きと瞑想的な静けさのあいだを、ヴィオラという中音域の弦楽器一挺で行き来する構成になっている。
ヴィオラはヴァイオリンよりひと回り大きく、チェロより高い音域を受け持つ弦楽器で、オーケストラや弦楽四重奏では「内声」を支える脇役にまわることが多い。その楽器を独奏の主役に据え、しかも大聖堂の街バルセロナで、ガウディ没後100年という文脈のなかで聴く——それ自体がひとつの仕掛けと言える。第1夜・第2夜とはまた違った、親密で内省的な音色の夜になりそうだ。
参加方法 ― 一般・学生・サポーターの3通り
「Serie Japonesa」は商業的なコンサートというより、寄付に支えられた文化プロジェクトとして運営されており、参加はアクレディテーション(参加登録)制をとっている。最終公演には、次の3つの入り口が用意されている。
- 一般参加(座席指定なし):こちらの公式ページから登録する。
- 学生参加(割引料金):学生向けの割引枠。学生用ページから。
- プロジェクトのサポーター(賛助会員)になる:シリーズそのものを応援したい人向けの枠。サポーター登録ページから。
オンライン登録のほか、現金での支払いを希望する場合は、当日スタッフが入口で対応するとアナウンスされている。料金はこれまでの公演と同様、無理のない範囲で支える寄付(ドネーション)に近い形が想定されている。
日本の読者への解説
ガウディ没後100年というスペイン側の記念ムードのなかで、わざわざ「日本」を主題にした音楽シリーズが組まれ、その最終夜までたどり着いたことには、いくつかの意味がある。ひとつは、サグラダ・ファミリアの「生誕の門」を長年彫り続けてきた彫刻家・外尾悦郎氏に象徴されるように、ガウディと日本がもともと縁の深い関係にあること。もうひとつは、このシリーズが大手主催の興行ではなく、寄付とサポーターに支えられた小さな文化プロジェクトとして運営されている点だ。チケットを売って利益を出すのではなく、共感した人が登録して場を支えるという形は、近年ヨーロッパの各都市で広がりつつある草の根の文化運営のスタイルでもある。
バルセロナ在住の日本人にとっては、地元で自国の音楽や精神文化が西洋クラシックの文脈のなかで響く瞬間に立ち会える機会であり、旅行で訪れる人にとっても、観光名所をめぐるのとは別の角度からこの街の文化的な奥行きに触れられる催しと言える。最終夜には「サプライズ」も予告されている。関心があれば、5月29日というひと晩限りの機会を逃さないようにしたい。
シリーズ全体の背景や3公演それぞれの内容については、「ガウディ没後100年、日本の音色がバルセロナに響く」でも詳しく紹介している。





