2026年のアストゥリアス王女賞の授賞式が10月23日、スペイン北部オビエドのカンポアモール劇場で開かれた。コミュニケーション・人文科学部門に選ばれたスタジオジブリについて、レオノール王女は演説で、母と妹と映画館で『崖の上のポニョ』を見た幼少期を回想。作品が自分たちの学びの一部になってきたと語り、手仕事の細やかさと人間へのまなざしをたたえた。
妹の初めての映画館は『ポニョ』
財団が公開した演説全文によると、王女は母に連れられて同作を見た際、物語に引き込まれたという。妹ソフィア王女にとっては初めて映画館で見る映画で、まだ2歳にならず、母の膝に座っていた。妹は少し身動きしながらも、アニメーションに引き込まれたと振り返った。
王女は、ジブリ映画には勇敢に戦う王女や自然への敬意が描かれ、静けさと観照にも意味があると説明した。演説で述べたのは、作品に込められた価値観と、自身の鑑賞体験とのつながりだ。ラジオ局カデナ・セールも23日、この回想と映画の教育的な役割への言及を報じた。
王女は、映画には作り手が意図していなくても人を育てる力があるとの考えも示した。演説でジブリに触れた部分では、姉妹の思い出に続いて、アニメーションという表現が持つ手仕事の細やかさと、人間を大切にする姿勢を挙げている。
演説の結びでは、ジブリの共同創設者である宮﨑駿監督が作品に取り入れた、詩人ポール・ヴァレリーの一節にも触れた。王女はそれを、希望を持ち続けることについて語る演説の最後に置いた。
依田社長がジブリを代表、評価は作品の人文性に
現地で式を取材したハフポスト・スペイン版によると、ジブリを代表して出席したのは依田謙一社長。今回の授賞式は、受賞決定を初めて発表する場ではない。審査員団の決定文は5月6日付で、創造力を知識とコミュニケーションへ結び付けた点を受賞理由に挙げている。
決定文は、想像力豊かな手仕事から生まれる物語が、共感、寛容、友情、人と自然への敬意を伝え、世代や国境を越えて届くと評価した。日常の美しさや、沈黙して見つめる時間を物語の大切な部分にしているとも説明している。王女の個人的な思い出と、賞を授ける側の評価が重なる内容となった。
日本の読者への解説
今回ジブリに贈られたのは芸術部門ではなく、コミュニケーション・人文科学部門の賞だ。審査員団の決定文と王女の演説は、映像表現だけでなく、作品を通じて何が伝わり、見る人の中に何が残るかに光を当てている。オビエド入りや事前会見の様子は、ジブリの依田社長らのスペイン来訪記事で紹介している。













