サグラダ・ファミリアの「栄光のファサード」に通じる大階段を巡り、バルセロナ市はマヨルカ通りの上をまたぐ構想に前向きな姿勢を示した。ただし、住民や聖堂との最終合意はまだない。地元紙エル・ナシオナルが10月20日、市のジョルディ・バルス第4副市長の発言を報じた。別の地元紙ARAも18日更新の記事で、協議で描かれた案には公式文書が提示されていないと伝えており、取り壊す住宅の範囲や事業の実施を確定事項として受け取る段階ではない。
道路の上を通す構想、住宅への影響は未確定
エル・ナシオナルによると、バルス氏は、聖堂がマヨルカ通りの上へ延びることを市側が受け入れている点を大きな変化として説明した。一方で、合意がない以上は基本合意ともいえないとの認識を示し、関係者との話し合いはあると述べた。同紙が伝えた市の姿勢は、具体的な建設計画の承認や、住民との協定締結の発表とは区別する必要がある。
市側が解決事項に挙げたのは、入口となる広場、通りを越える部分、交通、来訪者の流れなど。バルス氏は、影響をできるだけ小さくし、法的な確実性と幅広い支持のある解決を目指すと説明した。大階段だけを切り離して決めるのではなく、周囲の生活空間との調整が課題になっている。
質疑したERCの市議は、影響を受ける建物・住宅の数、商店の扱い、階段の具体的な形、計画の対象から外せる土地などに疑問が残ると指摘した。今回の発言から、取り壊しの対象や着工日が決まったと読み取ることはできない。
住民側は回答を要求、市との協議が焦点
ARAは18日更新の独自取材記事で、影響を受ける住民の団体が9日にバルス氏へ書簡を送り、協議の進展が伝えられないことに不満を示したと報じた。同紙は、聖堂と住民それぞれとの協議で関係者が支持する案が描かれ、7月に基本合意に達したと報じる一方、公式文書の提示や署名には至っていないと説明した。市側はARAに、聖堂の建設委員会や住民団体との対話を続ける意向を説明している。
ARAが報じた基本合意と、20日に報じられた市側の「まだ合意はない」という説明には違いがある。提示された案、関係者の了解、正式な合意を分けて今後の発表を確認したい。背景は9月の大階段計画を巡る報道でも紹介した。
日本の読者への解説
聖堂の工事が進むことと、周辺の住宅や道路を含む計画が決着することは別の問題だ。今回の焦点は、聖堂の入口と街の暮らしをどう両立させるかという協議にある。市の前向きな発言を「大階段の建設が正式決定した」と読み替えず、合意文書、住宅への影響、交通の変更などが具体化するかを見守る必要がある。













