カタルーニャ州の防災当局プロテクシオ・シビル(Protecció Civil)は7月12日(日)、この夏3度目となる熱波が始まったと発表し、少なくとも7月15日(水)まで続き、その水曜日に気温がピークを迎える見通しだと警戒を呼びかけた。カタルーニャ気象庁(SMC)の予測によると、州西部の内陸部では40℃を大きく上回る危険な暑さとなり、沿岸・準沿岸部では夜間の最低気温が25℃を下回らない「熱帯夜」が続く。あわせてサハラ砂塵(calima)が州上空に滞留し、大気の質も悪化する見込みだ。この暑さと乾燥を受け、森林火災危険度は西部を中心とした14コマルカ・72自治体で最高レベルの「4(極度)」に引き上げられ、森林消防隊(Bombers)は全州で態勢を強化している。今年の夏はすでにアルメリアの大規模森林火災(死者12人・不明23人)や6月の熱波による1,029人の死亡が報告されており、熱波と山火事が繰り返し連鎖する構造が続いている。
何が起きているか
SMCによれば、この夏3度目の熱波は7月12日(日)に始まり、少なくとも7月15日(水)まで続く見通しで、その水曜日に気温がもっとも高くなると予測されている。カタルーニャ州政府(Generalitat)はプロシカット(Procicat)計画の熱波警戒を発動し、Bombers(消防)は州内全域で人員配置を強化した。SMCが強調しているのは持続時間の長さで、日中の記録的な高温だけでなく、沿岸・準沿岸部で夜間の最低気温が25℃を下回らない「熱帯夜」が連日続く点が身体への負担を特に大きくするとしている。
地域別のタイムライン
州当局が示した見通しでは、日を追って影響地域が広がっていく。7月12日(日)午後から夜にかけては、アルタ・リバゴルサ、パリャルス・スビラ、ヴァル・ダランの山岳部で暑さが強まった。7月14日(月)にはノゲラ、プラ・ダルジェイ、セグリアといった州西部の平野・内陸部が中心となり、ピークとなる7月15日(火・水)にかけてはアルト・ウルジェイ、パリャルス・ジュサも加わる。いずれも州西部の内陸に集中しており、バルセロナなど沿岸都市部よりも内陸部でより危険な数値が観測される構図だ。
山火事危険度は最高レベルに
乾燥と高温、強風が重なることで、森林火災危険度は州西部を中心とした14コマルカ・72の自治体で最高レベルの「4(極度)」に引き上げられている。森林監視員(Agents Rurals)によれば、この危険度レベルは継続中で、森林およびその周辺での焚き火は全面的に禁止されている。モンセック・ダレス、モンセラート自然公園、セーラ・デ・モンサンなど少なくとも8つの自然保護区でアクセスが制限・閉鎖されている。すでに州内ではギメラ、カマラサ、センメナット、プラ・デ・マンリェウ、カルメ、ナヴァルクレス、ラ・ビスバル・ダンポルダの7件の火災が発生・鎮圧または安定化した状態にあり、現時点で新たな避難指示は出ていないものの、当局は「いつでも再燃しうる」として警戒レベルを緩めていない。7月上旬にはアンダルシア州アルメリアで史上3番目に致命的な森林火災が発生し12人が死亡しているだけに、カタルーニャ当局の警戒はより現実味を帯びている(アルメリア森林火災の詳報はこちら)。コスタ・ブラバでも7月上旬に約2,300ヘクタールを焼く火災が発生したばかりで(既報)、この夏のカタルーニャは山火事シーズンの序盤から緊張が続いている。
サハラ砂塵(calima)にも注意
この熱波にはサハラ砂漠由来の砂塵(calima)が伴っており、州上空に滞留することで空が霞んだような状態になる。粒子状物質の増加は視界の悪化だけでなく、喘息やアレルギー、呼吸器疾患を持つ人にとっては症状悪化のリスクとなる。高齢者や基礎疾患のある人は、砂塵の濃い時間帯の屋外での激しい運動を避けるのが望ましい。
なぜ熱波がこう繰り返すのか
今年の夏、スペインではすでに複数の熱波が観測されている。7月4日から7日にかけては42℃に達した第2次熱波が発生し(既報)、6月には史上最悪となる1,029人の熱波関連死が報告された(既報)。今回の第3次熱波はそれに続くもので、地中海西部で高気圧が居座りやすい大気の流れが繰り返し形成されていることが背景にある。一度の熱波が収まってもすぐ次の熱波が到来する「熱波の連鎖」が、今年のスペインの夏の特徴になりつつある。
実用対策
屋外活動は気温がもっとも高くなる12時から18時ごろを避け、こまめな水分・塩分補給を心がけたい。熱中症の初期症状の見分け方や応急処置、緊急通報先(112)については完全ガイド記事にまとめている。自宅や滞在先の冷房費が気になる場合は、補助金やPVPC(変動電気料金)の活用法を別記事で解説している。森林や自然公園に近いエリアに滞在・居住している場合は、閉鎖情報や避難情報をProcicatや自治体の公式発表で随時確認してほしい。
日本の読者への解説
スペインの「オラ・デ・カロール(ola de calor)」は日本の気象庁が発表する「熱中症警戒アラート」とはやや性格が異なり、気温そのものの持続的な高さを基準に気象当局と防災当局が連携して発動する仕組みだ。今回のようにカタルーニャ州独自の気象機関(SMC)と防災機関(Protecció Civil)が地域単位で警戒を出す体制は、都道府県単位で情報が細分化されがちな日本の熱中症アラートと似た面もある。一方で、乾燥した地中海性気候のスペインでは熱波がそのまま山火事危険度の急上昇に直結する点が、多雨で植生の水分量が保たれやすい日本の夏とは大きく異なる。今回のように「森林火災危険度レベル4」という具体的な数値で警戒を示す仕組みは、乾季と熱波が重なる地域特有の防災インフラといえる。
本稿執筆時点(7月13日)ではまだ熱波の途中段階にあり、ピークとされる7月15日(水)にかけて状況は変化しうる。当サイトでは山火事の発生状況や被害の推移を含め、続報があり次第更新する。













