事件の概要と大学の対応
2016年10月19日、マドリード自治大学(UAM)法学部で、フェリペ・ゴンサレス元首相とジャーナリストのフアン・ルイス・セブリアン氏が参加したフォーラム「市民社会と地球規模の変化」に対し、約150人の過激派学生が乱入し、抗議活動(エスクラチェ)を行いました。参加者への罵声や押し合い、さらには70歳の教授への暴行、大型の爆竹やナイフの持ち込みといった暴力行為も報告されています。
大学側は、学部長(Yolanda Valdeolivares氏)の指揮のもと、安全確保を最優先としつつも、事件の調査を開始。参加者の特定と、個人または団体としての責任追及を進める方針です。学部長は、事件の責任者を特定し、適切な措置を講じるための情報収集を進めていることを明かしました。
学生による非難と署名活動
大学の法学部生らは、この暴力的な抗議活動に対し、強い憤りを示しています。学部内の複数の場所には、事件を非難する署名を集めるためのテーブルが設置され、学生たちは「大学は表現の自由と対話の場であるべきで、誰も暴力を受けるべきではない」との声明を発表。これまでに1000人以上の署名が集まっています。学生たちは、大学当局に対し、責任者への処分を求める声明を学部評議会に提出する予定です。
日本の読者への解説
スペインの大学で時折見られる「エスクラチェ」は、特定の政治家や公人を、その人物が所属する場所(自宅や職場、大学など)に集団で押しかけ、大声で非難したり、抗議の意思表示をしたりする行為です。今回の事件では、単なる抗議にとどまらず、暴力行為や凶器の持ち込みまでエスカレートした点が深刻視されています。日本では、このような公人に対する直接的な抗議活動は一般的ではありませんが、政治的立場や思想の違いから生じる対立が、時に過激な形で表面化するスペインの社会状況を理解する一助となるでしょう。
なお、この抗議活動は、学生団体「自由学生連盟(FEL)」が、ソーシャルメディアやWhatsAppグループを通じて組織されたものであると報じられています。FELは「体制の二人のボスに手を出すと、代償が伴う」とツイートし、犯行声明を出しました。

