かつてラーメン不毛地帯と言われたマドリードも、いまや一杯のレベルは大きく上がった。日本人や日本で修行したシェフが手がける本格専門店から、安くて気軽に入れる人気チェーンまで、選択肢は年々豊かになっている。本記事では、2026年5月時点でマドリードのラーメンが楽しめる店を10軒紹介する。順位はつけるが、ラーメンは「その日の気分と目的」で選ぶもの。まずは前提を共有しておきたい。

その前に ─ マドリードのラーメンは「2系統」ある

バルセロナと同じく、マドリードのラーメン店も大きく2系統に分かれる。ひとつは、長時間炊いたスープと自家製麺で「本場の一杯」を追う専門店。もうひとつは、近年のブームに乗って広がった、安くて気軽に入れる現地化チェーン・量産系だ。後者は本格派から「これは本物か」と言われることもあるが、手頃な価格でサッと一杯すすれる価値は確かにある。本記事は本場志向を主軸に順位をつけるが、気軽系の良さも否定しない。どちらが上かではなく、財布と気分で使い分ければいい——という前提で読んでほしい。

第1位 Chuka Ramen Bar ─ 「マドリード本格派の基準点」で一番

Centro、Calle de Echegaray 9(バリオ・デ・ラス・レトラス)。2014年創業、マドリードの本格ラーメンシーンを切り拓いた一軒で、いまも高い評価を集め続けている。豚骨・醤油・味噌をていねいに炊き分け、燻製マグロやローストした肉、黒胡麻油などひと工夫きいたトッピングが個性。「日本の解釈を加えた本格派」として、迷ったらまず挙げたい基準点だ。

第2位 Yoka Loka ─ 「市場のカウンターで味わう一杯」で一番

Centro、アントン・マルティン市場(Mercado de Antón Martín)内、Calle de Santa Isabel 5。市場の一角にある小さなカウンター席で、本格的な豚骨ラーメンを味わえる人気店。素材の鮮度と完成度に定評があり、活気ある市場の空気のなかですする一杯は格別だ。席数が少ないので、時間をずらして訪れたい。

第3位 Hattori Hanzo ─ 「居酒屋スタイルの実力」で一番

Centro、Calle de la Reina 16(グラン・ビア裏、メトロGran Vía)。短い脚の座卓や提灯で和の雰囲気をまとった居酒屋スタイルの一軒。生ものを扱うバーや炭火焼きと並んで、シェフのボルハ・ガルシアが手がける味噌・醤油ラーメンが首都の人気を集めている。マドリードの小規模生産者の食材を使うこだわりも光る。ラーメンと一品料理を一緒に楽しみたい夜に向く。

第4位 Ramen Kagura ─ 「コスパと安定感」で一番

Centro、Calle de las Fuentes 1(オペラ座近く)ほか市内複数。マドリードを中心に多店舗を展開する人気チェーンで、コンクールでの受賞歴もある。ランチセットが13ユーロ前後と手頃ながら、味の満足度が高く、いつ行ってもハズしにくい。「安く、おいしく、確実に」を求めるときの安全牌として4位に置いた。

第5位 Ramen Komainu ─ 「原宿スタイルの本格派」で一番

Chamberí、Calle de José Abascal 13。2022年に開店した比較的新しい一軒で、東京・原宿の雰囲気を意識した店づくりと本格的な一杯で一気に評価を高めた。口コミでは「日本以外で食べた最高のラーメン」との声も。新興ながら実力は折り紙つきで、本場志向のファンが通う注目株だ。

第6位 Ran Ran Tei ─ 「横浜スタイルの手打ち麺」で一番

Tetuán、Calle de Orense 26(クスコ近辺)。横浜スタイルを掲げ、手作りの麺にこだわる一軒。名古屋や上海にも展開する国際的なチェーンの店で、再現度の高さと安定感が魅力だ。ビジネス街に近く、近隣で働く人々の「行きつけ」としても支持されている。

第7位 Kuraya ─ 「つけ麺・冷やしの専門枠」で一番

アートを散りばめた個性的な空間で、冷たいつけ麺を看板にする専門店。スープに麺をつけて食べるスタイルは、まだマドリードでは貴重で、暑い季節にこそ真価を発揮する。定番の一杯に飽きた人や、ラーメンの「別の楽しみ方」を知りたい人に試してほしい一軒だ。

第8位 Morikaen ─ 「選択肢の多さと手頃さ」で一番

16種類ものラーメンをそろえ、豊富な選択肢を手頃な価格で楽しめる一軒。あれこれ食べ比べたい人や、グループで好みが分かれるときに重宝する。尖った専門店とは違う「幅の広さ」が価値で、気取らずに通える日常使いの枠として8位に。

第9位 Nakeima ─ 「ラーメン専門ではないが実力」で一番

おまかせ形式の創作アジア料理で知られる人気店。厳密にはラーメン専門店ではないが、一杯の完成度は高く、アジア各地の要素を織り込んだ独創的な味づくりに定評がある。「専門店ではないのに入れるのか」という声はあるだろうが、それでも紹介したくなる実力枠として9位に置いた。いつもと違う一杯を求める冒険心のある人に。

第10位 Ramen Shifu ─ 「気軽枠の代表」で一番

サラマンカ、マラサーニャ、チュエカなど市内複数。スペイン各地に展開する大型チェーンで、ここまで挙げた専門店とは明確に系統が違う、現地化・量産系の代表格だ。安い・気軽に入れる・店舗が多いという価値は確かにあり、夏には冷たい麺を温かいスープにつけて食べる「つけ麺」風メニューも用意される。本場の極みを期待すると肩透かしを食うが、期待値を「気軽な一杯」に合わせれば、これはこれで頼れる存在だ。

結論 ─ 「本場で味わいたい夜」と「気軽にすすりたい昼」は違う

こうして10軒を並べて見えてくるのは、結局「目的で選べ」という当たり前の結論だ。本場の一杯で日本を思い出したい夜は、ChukaやYoka Loka、Komainuへ。財布が軽い昼や、動線上でサッと済ませたいときは、KaguraやShifuといった気軽系へ。どちらが上か下かではなく、その日の気分と懐で使い分ければいい。マドリードのラーメンがここまで充実したこと自体が、数年前には考えられなかった嬉しい変化なのだから。

*掲載の住所・スタイルは2026年5月時点。営業時間・定休日・価格・メニューは変わりやすいので、訪問前に各店の公式情報やGoogleマップで最終確認を。人気店は行列や売り切れもあるため、時間に余裕を持って訪れたい。

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