ここ数年、バルセロナで一気に存在感を増しているのが、中国の鍋料理「火鍋(ホットポット、中国語で火锅/フオグオ)」だ。テーブルの中央で煮立つスープに、薄切り肉や野菜、団子、麺を自分でくぐらせて食べる——日本のしゃぶしゃぶに近いが、決定的に違うのはスープの個性と辛さの幅広さである。本記事では、2026年5月時点でバルセロナで火鍋が楽しめる店を10軒、タイプ別に紹介する。順位はつけるが、火鍋は何より「好みのスープと辛さ」で選ぶもの。まずは火鍋の基本から押さえておきたい。
その前に ─ バルセロナの火鍋は大きく3タイプ
店選びで失敗しないために、まずスタイルの違いを知っておこう。ひとつめは四川(しせん)式。花椒(ホアジャオ)の痺れる辛さと唐辛子のきいた「麻辣(マーラー)」スープが看板で、辛いものが好きな人の本命だ。ふたつめは重慶(じゅうけい)式。牛脂をベースにした濃厚で激辛のスープが特徴で、四川式よりさらにパンチがある。みっつめが、鶏や豚をじっくり炊いたあっさり系の白湯(パイタン)スープや、薬膳・トマトなどのマイルドな鍋。多くの店では鍋を仕切って2種類のスープを同時に楽しめる「鴛鴦(おしどり)鍋」が用意されているので、激辛とあっさりを一度に味わうこともできる。辛さに自信がなくても、組み合わせ次第で誰でも楽しめるのが火鍋の懐の深さだ。
第1位 Liuyishou Hotpot ─ 「世界展開チェーンの安定感」で一番
Eixample地区、Carrer del Consell de Cent 303。重慶発祥で世界に数百店を展開する大手チェーンのバルセロナ店。看板はもちろん重慶式の濃厚な麻辣スープで、好みのタレを自分で調合できるソースバーも充実している。注文から提供までのオペレーションが洗練されており、火鍋初心者でも迷いにくい。「まず一軒、本場の重慶火鍋を体験したい」という人にすすめやすい基準点として1位に置いた。
第2位 Restaurante Chongqing Huo Guo ─ 「バルセロナ火鍋の草分け」で一番
Eixample地区、プラサ・タトゥアン(Plaça de Tetuan)周辺。バルセロナで火鍋がまだ珍しかった頃から営業してきた、シーンの草分け的な一軒。重慶式の本格的な麻辣スープを味わえるだけでなく、在住の中国人客でいつも賑わう「地元に支持された店」である。観光客向けに整えられすぎていない、本場の空気を感じたい人に。
第3位 Yuanlaosi Hot Pot ─ 「伝統的な空間で味わう本場」で一番
中国本土で300店以上を展開する大手チェーンのスペイン進出組。重厚な中国伝統装飾でまとめた店内は、火鍋を「体験」として楽しむのにふさわしい雰囲気がある。重慶式の濃厚スープを軸に、食材の鮮度と種類の豊富さに定評がある。グループでわいわい囲むのにも向く、間口の広い一軒だ。
第4位 Sabor Sichuan ─ 「ど真ん中の四川麻辣」で一番
Gran Via de les Corts Catalanes沿い。店名どおり四川料理に軸足を置き、花椒の痺れと唐辛子の辛さが調和した正統派の麻辣スープが楽しめる。火鍋だけでなく四川の一品料理も充実しているので、鍋以外も頼みたい食いしん坊のグループに向く。「痺れる辛さこそ火鍋の醍醐味」という人の指名買い候補だ。
第5位 Shuler Hot Pot 蜀乐火锅 ─ 「ロボット配膳の楽しさ」で一番
Gran Via de les Corts Catalanes 692。四川式のスープを軸にしながら、料理をテーブルまで運ぶ配膳ロボットを導入しているのが最大の話題。エンタメ性が高く、子ども連れや、初めての火鍋を「面白い体験」として楽しみたいグループに刺さる。味と遊び心を両立させた、いまどきの一軒である。
第6位 SLX Sichuan Hot Pot 蜀乐香 ─ 「アクセスの良さ」で一番
プラサ・タトゥアン(Plaza Tetuán)近辺。中心部からアクセスしやすい立地で、四川式の麻辣火鍋を気軽に楽しめる。観光や買い物の途中に立ち寄りやすく、「動線上で本格火鍋にありつきたい」ときの実用枠。辛さの調整にも応じてくれるので、辛いものが得意でない同行者がいても安心だ。
第7位 Spicy Soul Hot Pot ─ 「モダンな空間で楽しむ激辛」で一番
洗練されたモダンな内装が特徴の重慶式火鍋店。濃厚で刺激的な激辛スープを、洒落た空間で味わえるのが魅力で、雰囲気重視のディナーにも向く。辛さの中にも旨みのある重慶系のスープを、落ち着いた環境で堪能したい人に。
第8位 Shuyu Hot Pot 蜀渝火锅 ─ 「景泰藍の銅鍋という個性」で一番
北京などで使われる景泰藍(けいたいらん=七宝細工)をあしらった銅鍋を使うのが目を引く一軒。器の美しさも含めて火鍋を「画になる体験」として演出してくれる。スープの種類も幅広く、見た目と味の両方で満足度が高い。記念日や写真映えを意識した一夜に。
第9位 Hot Pot de Sichuan 壹锅 ─ 「四川の本気度」で一番
四川式の火鍋を看板に掲げ、スープの完成度に高い評価が集まる一軒。麻辣の奥行きと食材の質で、本場志向のファンを惹きつけている。辛さと旨みのバランスを突き詰めたい、火鍋好きの上級者にこそ試してほしい。
第10位 Houtang Hotpot ─ 「気軽に火鍋デビュー」で一番
口コミサイトでも安定した評価を得ている、入りやすさが魅力の一軒。本場のガチ勢が通う専門店とは少し性格が違うが、価格や雰囲気のハードルが低く、「火鍋がどんなものか、まず体験してみたい」という人の入口として心強い。期待値を「専門店の極み」ではなく「楽しい初体験」に置けば、十分に満足できる。
火鍋を120%楽しむための実用メモ
初めてなら、まず鴛鴦鍋(仕切り鍋)で「激辛」と「あっさり」を半分ずつ頼むのがおすすめだ。辛さは段階で選べる店が多いので、自信がなければ一段下げておけば失敗しない。具材は薄切りの牛肉・ラム肉、白菜やえのき、団子(つみれ)類、湯葉、春雨などが定番。タレは胡麻ダレやニンニク、香菜(パクチー)、ラー油を自分好みに調合するのが醍醐味で、ソースバーのある店なら遠慮なく試したい。〆に麺やワンタンを入れると、辛みの溶け出したスープを最後まで味わえる。
*掲載の住所・スタイルは2026年5月時点。営業時間・定休日・価格・メニューは変わりやすいので、訪問前に各店の公式情報やGoogleマップで最終確認を。多くの火鍋店は予約推奨で、週末の夜は混み合う。辛さの好みや人数を伝えておくと、当日がスムーズだ。





