ETA時代の社会と創作活動
作家フアン・バス氏(1959年、ビルバオ生まれ)は、2000年代初頭、ETA(バスク祖国と自由)が依然として強い影響力を持っていた時代に、風刺的な創作活動を行うことの困難さを振り返っています。同氏が2002年に発表した処女作『インクの中のサソリ』をはじめとする「過剰の三部作」(『貪欲』2008年、『ディミトリへのカキ』2012年)は、ビルバオの裕福な家庭に育った詐欺師、パチョ・ムルガを主人公としています。この度、これらの作品が『過剰の三部作』(Reino de Cordelia刊)として再編集・刊行されました。
バス氏は、「2002年当時、ETAやその裏社会をからかうことは恐ろしいことだった」と語り、ユーモアの対極は真面目さではなく、しばしば荒々しい真実が風刺の中に現れると指摘しています。彼は、過去の作品に一部後悔の念はあるものの、それらをすべて残したまま出版したと述べています。
日本の読者への解説
ETAは、バスク地方の独立を目指した武装組織で、1960年代から2018年の解散まで、テロ活動を繰り返しました。特に2000年代初頭は、その活動が激しく、社会全体に緊張感と恐怖が漂っていました。このような状況下で、ETAやその関係者を風刺の対象とすることは、作家にとって非常にリスクの高い行為でした。日本の読者にとっては、かつてスペインの一部で、政治的なテロ組織が社会の自由な表現を脅かしていたという現実を理解する一助となるでしょう。





