伝説のライブと引退
2026年5月8日、マドリードのライブハウス「But」のステージで、80年代の伝説的バンド、オレンジ・ジュースのヒット曲「Blue Boy」の最後のコードが鳴り響いた。スコットランド出身のミュージシャン、エドウィン・コリンズが、杖を振りながら観客に別れを告げた。この夜のコンサートは、彼のライブ活動の最後となる、感動的で心からの拍手に包まれた。
病を乗り越えた音楽人生
コリンズは、2005年に2度の脳卒中を経験し、言語障害や右半身の運動機能に困難を抱えることになった。しかし、彼は驚異的な回復力で再び話し言葉を取り戻し、音楽活動を続けた。2007年の復帰アルバムの制作過程はBBCのドキュメンタリー『Home Again』で描かれ、その後のアルバム『Losing Sleep』(2010)では、ジョニー・マー(ザ・スミス)やアレックス・カプラノス(フランツ・フェルディナンド)など、錚々たるミュージシャンたちが参加した。
日本の読者への解説
エドウィン・コリンズは、その初期のバンド、オレンジ・ジュースでの活動を通じて、「インディー・ミュージックの立役者」と評されることが多い。当時の音楽シーンにおいて、メインストリームとは一線を画しつつも、ジャンルを横断する独創的なポップサウンド(ジャングル・ポップ)を追求した姿勢は、後の多くのインディー・アーティストに影響を与えた。現代の音楽産業は、かつてないほどの楽曲が日々リリースされる「ワイルド・ウェスト」のような状況だが、コリンズのように独自の音楽性を貫き、粘り強く活動を続けることの重要性を示唆している。また、病を乗り越えて音楽を続ける彼の姿は、音楽が持つ癒やしと回復の力、そして人間の精神力の強さを改めて感じさせる。





