スペイン上がり続ける電気代 どのように価格は決定されていくのか

現在電気代が高騰し続けている。 スペイン政府当局は、現在世界的にガス供給が追い付いておらず、政府高官は欧州電力システムおよびプーチン大統領のせいで、電気代が跳ね上がっていると指摘。 また、野党らは、スペイン政府の無策により、市民や企業が多くの損害を被っていると避難している。

誰が電気代を決定しているのか

スペイン国内における電気代は、様々な要因に基づき、電気の卸売市場(un mercado mayorista)で決定される。 6月末に行われたスペイン国会で、高騰する電気代に対抗するため、スペイン政府は付加価値税(消費税)を21%から10%に引き下げることを決定している。

スペインの電気システムは自由化されているのか

1997年、当時の国民党ホセ・マリア・アスナール首相政権時、地方政党CiU(カタルーニャ)とPNV(バスク地方)の協力のもと、欧州電力システムの枠組みに加入することが決定された。 これにより、スペイン政府が定めていた一般電力会社および国有電力会社による売り手寡占(販売側が少ない)状態から自由化することになった。 この結果、市場に競争が発生し、様々な企業が参入することになるが、一貫して電気代は上昇を続けている。 ただ、ここ数か月の電気代高騰はなかった。

電気の卸売市場はどうなっているのか

スペイン国内で取引される電気は全てOMIEを通して取引される。 これは、2003年に発足したポルトガルを含むイベリア半島における電力売買オペレーター。 気候変動の影響を抑えるために、再生可能エネルギーなどを利用する現在のような転換期において、電力価格を安定的に、そして透明的に管理すること等が目的。 電力供給者はOMIEを通して電力の販売を行い、オークション形式により次の日の1時間ごとの電気代が決定される。 電力供給会社のAura Energiaによると、水力発電、風力発電、炭による火力発電、ソーラー発電などは電気代が安く、原子力発電、地熱発電などは電気代が高くなるとのこと。 電気は現状、どこかに国単位での需要レベルでは貯蔵することができないが、OMIEでのオークションでは、「Pool Electrico」(電気のプール)と呼ばれるところで毎日行われ、電力会社は、電力供給会社に対しオークション形式で電力を販売する。

電気代はどのようにして決まるのか

電気代は、雨、風、日照時間等の大気現象など様々な要因によって決定されるほか、電気需要量によって決まる。 ただ、現在の電気代の高騰は世界的なガスの供給不足によるものと指摘されている。

スペイン国内における電力会社の独占率

2020年第二四半期におけるデータによると、国内の83%を電力会社3社が独占している。 内訳はEndesa34.7%、Iberdrola34.1%、Naturgy14.2%。

スペインの欧州電力システムから脱退する可能性および電力会社の国有化の可能性は

急進左派Unidas Podemosは2021年1月に、電気代高騰を避けるため、少なくとも1つの国有大規模電力会社の保有を求めたが、与党左派PSOEと物別れに終わったと発表。 しかしながら、現在PSOEは国有の電力会社”設立”を示唆し、現在ある電力会社の国有化は否定している。

電気代はどのようにしてけいさんされるのか

AuraEnergiaによると、契約アンペア数(termino de potencia)と電気使用量(termino eneriga)によって決まる。

契約アンペア数(termino de potencia)とは

利用者が契約するアンペア数。

電気使用量(termino energia)とは

消費電力(kW)× 時間(h)。 前日の「Pool Electrico」で決定した価格により電気代が決定される。

今後も電気代は上がり続けるのか

大方の予想では、2020年いっぱいまで電気代は上昇すると見られている。

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