テロリスト、王室侮辱などの罪で2年4か月15日の禁固刑が言い渡され、そのうち王室侮辱の罪のみで9か月の禁固刑が確定したスペイン人ラッパーのパブロ・ハセルが、当局からの逮捕を免れるためにリェイダの大学に約50人あまりの支持者と立て籠もっていたが、16日8時30分ごろ、モススダエスクアドロ自治州警察により逮捕された。
国際的な犯罪、テロリスト、政治的な犯罪に関する罪を裁く、スペイン全国管区裁判所(Audiencia Nacional)は、パブロ・ハセルに対し王室侮辱やテロリストの罪で2年4か月15日の禁固刑を言い渡したが、テロリストの罪に関して一時的に執行を停止している為、現在王室侮辱の罪で9か月の禁固刑が執行される。
この逮捕に対し、カタルーニャ州バルセロナ市内で、パブロ・ハセルの釈放を求め約1,700人が抗議デモを行った。
パブロ・ハセルの逮捕までの経緯
2014年全国管区裁判所はパブロ・ハセル(実名パブロ・リバドゥヤ(Pablo Rivadulla))に対し、刑法578条を適用し、2年の実刑判決を求刑。 これは、スペイン北部バスク地方の独立を求め、2004年にマドリッドの列車爆破事件を起こし約200人の被害をもたらし、合計で800人以上も犠牲者を出しているテロ組織バスク祖国と自由(ETA)や、その他のテロ組織、LosGrapo,Terra Lliure、アル・カイダに関係する歌をYoutubeにアップしていたため。 その中でも、主なフレーズは以下の通り。
-“¡Merece que explote el coche de Patxi López!”.
-“Es un error no escuchar lo que canto, como Terra Lliure dejando vivo a Losantos”.
– “Los Grapo eran defensa propia ante el imperialismo y su crimen”.
-“Quienes manejan los hilos merecen mil kilos de amonal”.
-“Pienso en balas que nucas de jueces nazis alcancen”
判事らはこれらの文言は表現の自由の権利の範疇ではなく、明確なヘイトスピーチであり、暴力もしくはヘイトスピーチを助長し、新たなテロ組織を生み出す危険性があると判断した。
その後、全国管区裁判所は2019年に実刑の3年年間にわたる執行を一時的に中止(執行猶予のようなもの)。 これは、パブロ・ハセルが2014年にまだ前科がなかったこと、実刑が2年を超えなかったため。
全国管区裁判所がこの判断を下す前、2018年3月に同裁判所はパブロ・ハセルに対し24,300ユーロの罰金刑を課すことになる。 これは、パブロ・ハセルが2014から2018年にかけて、王室、軍、警察等に対する侮辱発言などをツイッターで発言もしくはリツイートしていたからだった。 しかし、この時、最高裁判所が罰金刑から9か月の禁固刑に減刑している。
ツイッターでの発言などで主なものは以下の通り。
-La familia real son unos parásitos.
-La monarquía tiene negocios criminales como el tráfico de armas a Arabia Saudí.
-La monarquía vive a todo lujo a costa de la explotación y miseria ajena.
-La Guardia Civil, como hasta el tribunal europeo ha dicho, ha torturado.
判事によると、王室への侮辱罪に関して、「国王は中立的な人物であるため、公の場において侮辱や誹謗中傷を多くの人に視覚化するべきではない。」と発言。 ツイッターに関しては、「個人、および王室への直接的な情け容赦ない攻撃」と判断した。
このため、パブロ・ハセルは9か月の禁固刑のため本日逮捕された。
この判断に対し、パブロ・ハセルはスペイン憲法裁判所に上告していたが、憲法裁判所は憲法に違反する可能性がある場合のみ審査するとして棄却した。
実はパブロ・ハセルは昨年リェイダの大学で行われた記者会見において、TV3の記者に対し、突き飛ばし、罵詈雑言を投げかけ、洗剤用液をかけた容疑が掛けられており、12,150ユーロと禁固刑を求刑されている。