スペインの大停電 (2025年4月28日)

背景と影響地域

2025年4月28日(月)12時33分ごろ、スペイン全土で大規模な停電が発生し、数百万人が電力を失いました。停電はカナリア諸島とバレアレス諸島を除くスペイン本土ほぼ全域に加え、ポルトガル、さらには短時間ながらフランス南部にまで波及しました。この時点で需要の約**60 %**が瞬時に失われ、スペインの電力史上前例のない規模とされています。交通機関(道路、鉄道、地下鉄、空港)や通信がまひし、多数の人々が移動できなくなる事態となりました。​

停電の原因

調査は継続中ですが、初期分析では、異常な大気振動が高圧送電線(400 kV)に発生し、系統の同期が乱れたことで連鎖的な障害が起きたとみられています。これは半島内部の極端な気温変化によって誘発された珍しい自然現象とされています。当初取り沙汰されたサイバー攻撃の可能性については、スペイン・ポルトガル両政府とも「現時点で侵入の痕跡はない」と否定しました。総じて、技術的要因と気象要因が重なった異例のトリガーが原因であるとの見方が強まっています。​

停電の継続時間と復旧

  • 12 : 33 停電発生
  • 13 : 30ごろ 北部と南部から段階的に送電再開
  • 22 : 30ごろ(発生から約10時間後) 供給の約50 %復旧
  • 29日 5 : 00 需要の約92 %復旧
  • 同日 6 : 00 約99 %復旧
    完全安定化には数日要する見込みですが、家庭・産業への実質的な電力供給は18時間前後で概ね回復しました。​

公式声明

  • ペドロ・サンチェス首相は国家安全保障会議を招集し、「結論は出ておらず、あらゆる仮説を排除しない」と述べました。
  • ポルトガル政府(アントニオ・コスタ前首相、ルイス・モンテネグロ現首相)は「サイバー攻撃の兆候はなく、発端はスペイン側の可能性が高い」と説明。
  • **スペイン送電網(REE)**は「完全復旧まで6〜10時間」との見通しを発表し、その後進捗を随時報告しました。​

対応と復旧措置

分野主な対策
緊急計画一部地域で非常事態レベル3を宣言し、中央政府が指揮。国家安全保障会議を2度開催。
治安国家警察・治安警備隊を全面動員し、略奪防止などの警戒を強化。バレンシア州では停電中のデモを禁止。
住民向け通知不要不急の外出自粛、信頼できる情報源のみ参照、携帯通話の節約を要請。
重要インフラ病院は非常用発電機を稼働。Renfeは全列車を一時停止、空港も便数を最大20 %制限。
系統復旧REEと配電会社が段階的に再送電。国際連系線経由でフランス・モロッコから電力支援を受け、系統を安定化。

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