スペイン国会本会議は過半数で恩赦法を支持し、上院の拒否権を解除し、最終的な承認を行った。
これにより、法案は官報(BOE)を通じて発効されることになる。 但し、この発効は来週以降になる見通しとのこと。
今回通過した恩赦法というのは、2011年11月1日から2023年11月13日までに行われたカタルーニャ独立派の運動に関与したすべての関係者に恩赦を与えるというもので、これには2014年11月9日の違法な住民投票や、2017年10月1日の独立を問う違法な住民投票で有罪判決を受けたもの、および最高裁判所の判決に対する抗議行動で起訴された者も含んでいる。
因みに欧州議会は2024年2月8日、カタルーニャ州の独立運動にロシアによる干渉があった可能性があるとみて、スペイン当局に関係を調査するよう要求している。
今回、この様な法案が成立してしまった背景は、カタルーニャ州の独立派の声が大きくなったからでは「ない」。
これは2023年7月23日に行われたスペイン総選挙にて、右派国民党が大躍進し、第一党になったにもかかわらず、連立政権で左派PSOEやカタルーニャ州独立派会派の連合に勝てなかった。
その結果、第二党であるPSOEのペドロ・サンチェスが首班候補に選ばれたのだが、僅かな票差で選出が失敗する予定であった。
どうしても首相に返り咲きたいペドロ・サンチェスは、カタルーニャ州独立派会派の票数があれば首相になれるため、同州の独立運動で最高裁判所による有罪判決を受けたものたちへの恩赦を約束した。
その後、数週間にわたり抗議運動が続く。
上院議会で法案拒否となるも、本日、本会議で法案の成立を承認することになった。
ロシアなどの関与が可能性として疑問視されている国家転覆を狙ったカタルーニャ州独立運動への最高裁判所での最も厳しい判決に近い「扇動の罪」も、首相選出という餌で恩赦となった。
