チベット ダライ・ラマ14世インド亡命から60年式典

ダライ・ラマ14世がインドに亡命してから今年の3月10日で60年目となり、インド北部の亡命政府は式典を開いた。

自由チベット協議会代表の酒井信彦氏、チベット亡命政府(ガンデンポタン)などによる調査の結果、1950年から1976年のあいだ、チベット全域で約120万人に上る中国のチベット侵攻による犠牲者が出たとしているが、中華人民共和国はこれを否定。 ただし、兵士や市民に対する一定数の殺害を認めており、これは、チベット民族による反乱であり、虐殺ではなく反乱分子の平定という認識を持っているとのこと。

現在日本人がチベット自治区を観光する場合、15日以内の滞在であれば中国ビザは不要(但しネパール経由で有れば旅行ビザの取得が必要:変更有)であるが、入境許可証が必要となる。 これは、中国政府が認定した旅行会社のツアーに参加しなければ取得できないため、現地での自由な観光は制限されるほか、現地のポタラ宮や寺、要所などではこの入境許可証の提示が義務化されている。 許可証がない場合、中国では違法滞在とみなされるため注意が必要。 因みにチベット自治区では外国人観光客に対しガイドの同行が義務付けられている。

このような状況に対し、米国上院議会は今週。「チベット相互アクセス法」と呼ばれるものを承認。 これは米国や他国の外交官、市民、記者が同地区へ渡航することを簡素化することを求めるものである。 

一方、中国側は外国人政治家および旅行客のチベット自治区への渡航を許可してきたが、現在、4月1日まで同地区への渡航が政府により禁止されていることが、中国旅行会社Chengduの情報により分かっている。

また、政治的自由度、市民生活の自由度などを測るFeedom Houseの2017年度の調べによると、日本の自由度は96(100が自由度的に最高値、0は自由度が無い値)だったのに対し、チベットは1(因みに中国は15)とほぼ自由度が無い状態。(因みにシリアは-1)

更に、ロンドンに本部のある中国によるチベット占領を集結させるための運動を支援しているNGO「Free Tibet」によると、「現在タクシーの中の会話ですら中国当局により監視されている」と、スペイン通信社エウロパプレスは報じている。

チベット自治区へ旅行する際は以上のことを踏まえ、また高山病対策もしっかりしたうえで渡航すること。 また、近年中国のチベット自治区への移民政策により文化的なものが失われつつあると囁かれている一方、インド北奥のラダック地方は、侵略を逃れた数多くの文化的な遺産がひっそりと保存されており、チベット文化を今でも色濃く残しているとのこと。

同僚のチベット出身者は、今年渡航ビザが発給されず、長期休暇で実家に帰ることができないと言っていた。

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